緊急事態宣言の解除後への不安は?ポスト「コロナうつ」「コロナ不安症」
「コロナストレス」で見てきたように、コロナストレスには様々なものがあります
在宅勤務が長引いたり、外出の自粛が続いたりすることで、行き場を失ってしまったり、それまでの家庭内での良好な関係を失ってしまったり、お金や職業、また明るい希望を持つ機会をも失ってしまったり、わたしたちは、気づかない間に多くの喪失体験をしているのです。
コロナウイルスの感染拡大は、やや落ち着いてきたようにみえます。しかし緊急事態宣言が解除された後でも、私たちの不安が全くなくなるわけではありません。
コロナストレスは、ポストコロナ・アフターコロナも、以前として私たちに影響を与え続けます。そして、これは誰しもが自然に感じるものです。ただ、これらのストレスが大きくすぎて、心や身体に不調が生じると、これは病気であり、治療を必要とするものと言えます。
あなたは大丈夫?コロナうつの特徴
コロナストレスによって、さまざまなストレスを私たち
は感じています。
下の項目に、いくつあてはまるか数えてみましょう。
コロナストレスの心理的反応
(1)憂うつな気分になることがある
(2)何もかもが嫌になることがある
(3)むなしさを感じることがある
(4)イライラしやすい
(5)気分がスッキリしない
(6)気持ちが落ち着かない
(7)気分の浮き沈みが激しい
(8)何かをする気力が湧かない
(9)頭の中がまとまらない
(10)物事になかなか取りかかれない
コロナストレスの身体的反応
(1)疲れやすい
(2)疲れがとれにくい
(3)寝つきが悪い
(4)早朝に目が覚めて、その後眠れなくなることがある
(5)息苦しくなることがある
(6)よく喉が渇く
(7)胃の調子が悪い
(8)下痢や便秘をしやすい
(9)食欲がない
(10)肩が凝りやすい
いくつあてはまりましたか?
1~2項目あてはまる場合は、ストレスをためこんだ「コロナうつ予備軍」担っている可能性があります。
3つ以上あてはまっている場合、コロナうつの可能性があります。心療内科や精神科に早めに相談することをお勧めします。うつは、早めの治療が大切です。
コロナ不安・コロナノイローゼの症状とは?
コロナによって不安感が高まり、それが心や体に症状として現れるのがコロナ不安、コロナノイローゼをよく言われる病気です。一般的にこの病気は、不安神経症、不安障害と呼ばれるものです。
不安障害の症状には、次のようなものがあります。当てはまる項目がありますか?
①パニック発作
②過呼吸
③めまい
④不眠
⑤動機・息切れ
⑥発汗
⑦思考停止
⑧身体感覚異常
⑨食欲低下
⑩回避・逃避
⑪強迫行為・衝動
①パニック発作、②過呼吸、⑤動悸、息切れ、⑥発汗は同時に起こることもよくあります。急に立っていられず、座り込んでしまうほど、頭が混乱し、どうしてよいか分からない恐怖と不安に襲われ、また体に変化が生じてしまいます。
⑦思考停止の症状は、急に言葉が出にくくなったり、会話が成り立たなくなったり、考えようとしてもどうしても考えられなかったりする、考えがまとまらない、といったものです。自分でも明らかにおかしいと気が付くだけではなく、周りの人に指摘されて分かる場合もあります。
⑪強迫行為は、例えば「手の汚れ」を強く感じ、それをまき散らす不安から執拗に手洗いを続けたり、泥棒や火事の心配から、外出前に施錠やガス栓の確認を切りがなく繰り返したりします。コロナウイルスの感染拡大を防ぐために必要は手洗い・うがいは必要なものですが、強迫行為に該当するのは、明らかに異常な程度の行為の繰り返しです。
これらの症状に、あなたはいくつあてはまりましたか?
いくつも当てはまる場合、不安神経症である可能性があります。少しでも心配があれば、心療内科・精神科のクリニックや病院にご相談することをお勧めします。
また、関連して被害妄想も、不安感から生じるこことの働きの一つです。不安が高じると、人は猜疑的に、被害的になります。こうした時、何もないのに人が攻撃してくる、悪さをしてくる、といった被害感が強くなります。
自分の中の不安や恐れを外の別の対象に映し出すメカニズムは、投影と呼ばれます。心理的にこのような現象が起こってしまうのは止められません。ただ、それを自覚することが非常に大切です。コロナにかかった人への差別、患者さんたちのために働いている医療従事者、また根拠のない人種差別などで、誰かを傷つけたり、悲しませたりしないように気を付けることが重要ですね。
コロナ情報の嵐から少し距離をおくことも大切
被害妄想を含め、不安症状をさらに助長するのが、デマや根拠のないウワサです。不安な中で、情報を少しでも多く集めたいと思うのは当然ですが、その中には、未だに多くのフェイクニュース、デマが混ざっています。また、事実だとしても不安をあおるような報道が多くなされています。
取り入れる情報は、厚生労働省や医療・感染症の専門家などからのものにしましょう。また、ワイドショーやSNSなどとは、いったん距離を置いてみることも、対策の1つでしょう。
当院でもご相談いただけます
コロナストレスや、ポストコロナ、アフターコロナへの不安による病気が心配な方は、ぜひ当院にご相談ください。
感染拡大の対策として、消毒・除菌、換気などの徹底した対策をとっております。ご心配な方は、まずはお電話にて、ご相談ください。
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野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など