コロナ不安についてメンタルクリニックが解説をしております
こんにちは。ひだまりこころクリニックです。
当院は、新型コロナウイルス(COVID-19)が引き起こすさまざまな心の問題について、専門的な観点から解説しています。そこで今回は、コロナに関して寄せられた皆さまからの疑問にQ&A方式でお答えしていきたいと思います。質問のテーマは「コロナ不安」です。
少しでもお役に立てれば幸いです。
質問① コロナが流行し始めてから、気分の落ち込みや夜上手く眠れないことが続いています。これってどうしてしまったのでしょうか?
回答① 自然災害の発生時や、感染症の流行期といった社会的な緊急事態では、心と体にさまざまな不調が出るのは誰しもに起きやすいといわれています。
特に、気分の落ち込みや不眠の他にも、「食欲がなくなる」「何事にも興味関心が持てなくなる」「ささいなことでイライラしやすくなる」などの心身の変化が起こりやすいとも言われています。
ほとんどの場合、こうした変化は一時的なもので、時間が経つにつれ、すこしずつ元の自分に戻っていくので、焦らず、なるべくストレスを感じない生活を意識することが大切です。ですが、中には、なかなか調子を取り戻せなくて辛いという方もいらっしゃることでしょう。そんな時は、より早く心のケアを開始する必要がある事も、まずは心の専門家に相談されることをおすすめします。
質問② 自分や家族がいつかコロナに感染してしまうのではないかと不安です。どうしたらいいですか?
回答② 不安を感じるのは悪いことではありません。
不安を感じることは生きていく上でもとても大切な感情だからです。そのような不安感情の為に、私たちの生活や健康に、脅威を与えるものをきちんと「こわい」と思うことで、避けたり、予防したりという行動がとれるからです。そうは言っても、毎日不安ばかり感じていたら心が疲れてしまいますよね。
そこで、不安をコントロールする力をつけることが大切です。一つのやり方として、自分が不安を感じやすいタイミングやきっかけを把握し、それを避けるという方法があります。例えば、ニュースを見た後に不安が高まることに気づいたら、ニュースを見る回数を減らす、といったことです。また、手洗いや消毒、換気といった、自分が不安解消のためにできる行動をリストアップしたり、それらの効果を調べてみることも不安を和らげるのに役立ちます。
質問③ 保障制度などの利用手続きは進めていますが、失業や廃業への不安で夜も眠れません。なにかいい方法はありますか?
回答③ 具体的な問題からくる不安はなかなか解消が難しいものですよね。
その問題を解決するために、今できること(保障制度の利用手続きなど)をまず全てやる、というのはとても大切なことだと思います。そして、今回のコロナ禍では、同じような立場で、同様の悩みを抱えている人が多く出ている事と思います。
同業者のつながりなど、似たような悩みや不安を共有できるコミュニティがあると不安の解消に役立つでしょう。不安が大きいと、睡眠や食事もままならなくなってしまいがちですが、身体が弱っていると心にも悪影響がでてしまいます。
緊急事態であるからこそなるべく、健康的な生活を維持しつつ、課題について、冷静に考えられるための、心の状態を今は保っていくことも大切なのです。どうしても眠れないというときは、お薬を活用するのも一つの手です。心療内科や精神科の先生に一度相談してみるといいかもしれません。
質問④ 子どもの休校が続いていて心配です。長期間の外出自粛で、子どもの発達に影響はでないのでしょうか?
質問④ こどもの発達とは、お子さんの持って生まれたものと環境とが相互に関連しながら長期的に紡がれていくものです。
ですので、コロナによる休校や外出自粛といった一時的な緊急事態が、発達に直接的な影響を及ぼすことは考えにくいです。ですが、一時的にストレスフルな環境に置かれているという意味では、お子さんにさまざまな反応が表れてもおかしくありません。
「甘えることが増えた」「夜泣きやおねしょをするようになった」「怒りっぽくなった」などの変化は、コロナ禍に限らず、災害発生時などの非常事態でも多くのこどもに見られる反応だと言われています。これらは一時的なもので、社会が落ち着きを取り戻すにつれ自然と元の状態に戻っていくものです。ただし、こうした子供の変化に大人が過敏に反応し、叱ったり、無理にやめさせようとすると不安定な状態が長引いてしまいます。結果的にコロナが収まった後の生活にも影響を及ぼしかねません。「いずれ収まっていくもの」とどっしり構え、温かく見守ってあげることが大切です。
質問⑤ 離れて暮らす高齢の家族がいます。感染だけでなく、詐欺被害なども心配なのですが、手を貸そうとするとなかなか素直に応じてくれません。接するうえでなにか気を付けることはありますか?
質問⑤ 高齢者の方特有の心理に配慮しながら、必要なサポートを行っていくことが大切です。
高齢者の方は、体力や気力の衰えを感じ、自尊心が低下しやすいといわれています。助けてほしい気持ちもある一方で、老人扱いされることには敏感に反応してしまうことも少なくありません。
そのため、一方的に教える、助けるといった構図にならないような配慮が必要です。たとえば、日々の会話を通して、ご本人が適切な情報を仕入れているか確かめながら、必要に応じて、正しい情報をわかりやすく伝えていくことが求められます。
ご本人の生活スタイルや考えも聞きながら、家族との主要な連絡ツールを来訪にするのか電話にするのかメッセージアプリにするのか話し合うのもいいでしょう。また、詐欺の啓発などは直接的に伝えるより、「実際にこういった被害に遭った人の話をきいた」といったように、遠回しに伝える方法が有効かもしれません。
最後に
今回は、コロナに関連して寄せられることの多い質問にお答えしてきました。
ご自身の心境に近い質問はありましたでしょうか?アフターコロナQ&Aもご紹介しております。
落ち着かない日々が続きますが、心と体の健康に努めていきましょう。
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野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など