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2023.12.182024.04.01

不眠の原因の一つ、閉塞性睡眠時無呼吸とは?

不眠の原因の一つ、閉塞性睡眠時無呼吸とは?

不眠症・睡眠障害の原因の中には、睡眠時の呼吸に影響を及ぼす病気があります。その一つが閉塞性睡眠時無呼吸です。この病気は、寝ている間に一時呼吸が止まる病気です。今回は、閉塞性睡眠時無呼吸について、原因、症状、診断、治療についてお話します。

どんな病気?

閉塞性睡眠時無呼吸は、気道が閉塞して正常な呼吸が阻害されるため、睡眠中に何度も呼吸が止まることが特徴です。この状態が継続的に起こると、様々な健康問題を引き起こす可能性が高まります。

原因は?

閉塞性睡眠時無呼吸は、通常、睡眠中に喉の筋肉などの緊張が原因で気道が閉塞することによって引き起こされます。この気道の閉塞は、次のようにいくつかの原因が関連しています。

体重増加

余分な脂肪が首や喉の周りに蓄積すると、気道が圧迫され呼吸が苦しくなります。

喉頭の形状

大きな舌や大きな扁桃、狭い気道などの喉頭の形状によって気道の閉塞が引き起こされることがあります。

筋肉の緊張低下

睡眠中、喉の筋肉や舌の筋肉の緊張が低下することがあり、これにより気道が狭くなりやすくなります。

遺伝的要因

遺伝的な要因も閉塞性睡眠時無呼吸のリスクを増加させることがあります。

アルコールおよび薬物の摂取

アルコールや特定の薬物の摂取は、筋肉の緊張を低下させることがあり、閉塞性睡眠時無呼吸を誘発する可能性があります。

どんな症状?

閉塞性睡眠時無呼吸の症状は個人によって異なりますが、一般的に次のようなものがあります。これらの症状が一つ以上当てはまる場合、閉塞性睡眠時無呼吸の可能性が高いため、専門家に相談することが重要です。早期に診断を受け治療を検討することは、合併症のリスクを最小限に抑えることができるでしょう。

いびき

夜間に大きないびきをかくことがあります。このいびきは、気道が狭くなることによる振動音です。

繰り返しの呼吸停止

主な症状の一つです。睡眠中に気道が閉塞し、呼吸が一時的に停止します。これは数秒から数十秒間続き、患者が目を覚ますことなく、再び正常な呼吸を始めることがあります。

夜間の頻繁な目覚め

患者は夜間に何度も目を覚まし、呼吸困難やいびきによって睡眠を妨げられることがあります。

昼間のひどい眠気

夜間の睡眠の質が低いため、昼間にひどい眠気を感じることがよくあります。仕事や日常生活における集中力の低下を引き起こす可能性が高まります。

イライラや不安

睡眠不足は、イライラや不安を増加させることがあります。

頭痛

頭痛がある場合、酸素供給の不足に関連する可能性があります。

性的機能の低下

男性の患者の場合は、勃起不全や性的機能の低下を経験する可能性があります。

高血圧

高血圧の発症や悪化と関連しています。睡眠中の呼吸の停止により、血圧が上昇しやすくなります。

心臓疾患

心臓疾患のリスクを増加させる可能性があります。これは、心臓への酸素供給が不足するためです。

脳卒中のリスク

重度の閉塞性睡眠時無呼吸は、脳卒中のリスクを増加させることがあります。脳への酸素供給が低下することが一因です。

閉塞性睡眠時無呼吸症の診断

閉塞性睡眠時無呼吸の診断は、専門の医療機関で行われることが一般的です。診断は次のように行われます。

詳細な症状の評価

閉塞性睡眠時無呼吸に関連する症状について情報を得ます。

遺伝的評価

閉塞性睡眠時無呼吸の遺伝的な要因を確認するため、家族歴や遺伝的な情報を聞き取り、評価することがあります。

ポリソムノグラフィー

一般的な診断テストは、睡眠ポリソムノグラフィー(PSG)と呼ばれ、患者が睡眠中にモニタリングを行います。これには、脳波、心拍数、眼球運動、筋電図、酸素飽和度、呼吸パターンなどが含み、閉塞性睡眠時無呼吸の存在と重症度を評価します。

呼吸停止・低呼吸指数の評価

睡眠ポリソムノグラフィーの結果をもとに、呼吸停止・低呼吸指数を評価します。閉塞性睡眠時無呼吸の重症度を示す重要な要素です。

その他のテスト

睡眠中の呼吸の異常を評価するために、アクチグラフィー(活動計)や酸素飽和度モニタリングなどの追加テストが行われることがあります。

閉塞性睡眠時無呼吸症の治療

閉塞性睡眠時無呼吸の治療は、その重症度に応じて異なります。治療の目標は、気道を広げて正常な呼吸を維持することです。以下に一般的な治療法を示します。

陽圧呼吸療法(Positive Airway Pressure、PAP療法)

最も一般的な治療法で、気道の開放を助けるために特殊な装置を使用します。持続的陽圧呼吸圧(CPAP)や自動陽圧呼吸圧(AutoPAP)などの装置があり、気道の閉塞を防ぎ、正常な呼吸を維持します。

口腔装置

歯科医師によって提供される特殊な装置は、下顎を前に押し出し、気道の広げることが可能です。これにより、気道の閉塞を減少させ、いびきや呼吸の停止を軽減できます。

手術

重度の閉塞性睡眠時無呼吸の場合、手術が必要となることがあります。手術の種類は、扁桃腺摘出術、喉頭形状の修正などが含まれます。これらの手術は気道の障害を解消し、空気の通りを改善するのに役立ちます。

体重管理と生活習慣の改善

体重の管理と健康的な生活習慣を維持することが大切です。体重の減少、適度な運動、アルコールおよび喫煙の制限は、症状を軽減するのに役立ちます。

睡眠姿勢の改善

一部の患者は、特定の睡眠姿勢で症状が悪化することがあります。枕や睡眠姿勢を工夫することによって、気道の開放を助けることがあります。

口腔筋トレーニング

特定の口腔筋肉のトレーニングを行うことで、気道の筋力を向上させ、閉塞性睡眠時無呼吸の症状を軽減することができます。

まとめ

閉塞性睡眠時無呼吸は、睡眠中に呼吸が一時的に停止する病態で、気道の閉塞が主な原因です。この症状はいびき、繰り返しの呼吸停止、昼間のひどい眠気、高血圧、心臓疾患、不眠・睡眠障害、日中のイライラ、集中力の低下などの症状を引き起こし、日常生活に影響を及ぼすことがあります。

早期の診断と治療を受けることで、閉塞性睡眠時無呼吸に関連するリスクを最小限に抑え、睡眠の質と日常生活の質を向上させることができます。閉塞性睡眠時無呼吸の症状に心当たりがある人は、専門家に相談し、適切な診断と治療を受けることが大切です。それによって、患者は夜間に快適な睡眠を得ることができ、昼間の生活においても活力を取り戻すことができるでしょう。

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野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など