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2023.12.182024.04.01

周期性四肢運動障害について

周期性四肢運動障害

周期性四肢運動障害は、眠っているときに足などが周期的に動く睡眠関連運動障害の一つです。これによって不眠や睡眠障害、睡眠の質が低下し、疲れや不快感を感じる原因となります。今回は、周期性四肢運動障害の症状、診断、治療、日常生活での留意点などについて説明し、より良い睡眠を実現するための情報を提供します。

周期性四肢運動障害とはどんな病気?

周期性四肢運動障害は、「足がぴくっと動く」と表現されることが多い病気です。睡眠はとっていて、無呼吸発作やいびきなどの症状もないのに「昼間に眠い」ならば、パートナーに足が動いているかどうかを確認してもらいましょう。その場合、周期性四肢運動障害が関係しているかもしれません。その他には、次のような特徴があります。

安静にしていると症状が強くなる傾向

足を動かすと不快感が和らぐ

夕方から夜に症状が強まる

眠れないため、日中の眠気や疲労感を感じる

周囲の影響

周期性四肢運動障害の患者が共同生活者と寝室を共有している場合、その運動の影響が周囲の人々にも及びます。特に、寝室での騒音やベッドの振動がパートナーや家族の睡眠を妨げ、ストレスを引き起こす可能性があります。

他疾患との関連

周期性四肢運動障害は単独で発症することもありますが、他の睡眠障害や神経学的障害と共存することがあります。特に、不眠症、過度の日中の眠気(過眠症)、睡眠時無呼吸症候群レストレスレッグス症候群(RLS)との重複がよく見られます。

合併症のリスク

周期性四肢運動障害が適切に診断および治療されない場合、合併症のリスクが高まることがあります。長期間にわたる睡眠不足は、健康にさまざまな影響を及ぼす可能性があり、心血管疾患、抑うつ、不安、認知機能の低下などと関連することがあります。

周期性四肢運動障害の症状は?

周期性四肢運動障害は、主に夜間の睡眠中に現れる症状です。主な特徴は次の通りです。

四肢の動き

睡眠中、特に非REM(rapid eye movement)睡眠の段階で、患者の足や腕が繰り返し動きます。これは通常、足が伸びつま先が下向きに曲がるような単純な動きです。これらの動きは通常30秒から2分に一度起こり、数時間にわたって続くことがあります。

無意識の動き

周期性四肢運動障害の患者は、これらの四肢の動きを無意識に行っており、患者自身は四肢を動かしていることに気付かないことが多いです。

覚醒

周期性四肢運動障害の動きはしばしば睡眠を妨げ、患者が覚醒する原因となります。連続して眠れず、睡眠の質が低下します。

周期性四肢運動障害の原因について

周期性四肢運動障害の確な原因は不明ですが、いくつかの要因が関与している可能性があります。

遺伝的要因

家族間での発症傾向が見られ、遺伝的な要因が関与している可能性があります。

神経化学の異常

神経伝達物質や神経細胞の異常が周期性四肢運動障害の原因となることが考えられています。特にドーパミンの不均衡が関連しているとされています。

基礎疾患

周期性四肢運動障害は他の神経学的または精神的な疾患と共存することがあります。例えば、特定の神経障害や薬物乱用が周期性四肢運動障害の発症に寄与することがあります。

年齢: 年齢とともに周期性四肢運動障害の発症リスクは増加する傾向です。

周期性四肢運動障害の診断

周期性四肢運動障害についての診断のプロセスには、以下の要素が含まれます。

病歴の詳細

症状や睡眠パターンについて詳しく尋ねます。また、他の睡眠障害や健康問題を排除するための情報も収集します。

睡眠モニタリング

睡眠ポリグラフ検査を通じて、周期性四肢運動障害の症状を確認します。この検査は睡眠中の脳波、筋肉活動、心拍数、呼吸などを記録し、睡眠の質と問題を特定します。

周期性四肢運動障害の治療は?

周期性四肢運動障害の治療は、症状の重症度によって個人差があります。以下は一般的な治療方法です。

医薬品療法

医師は特定の医薬品を処方することがあります。通常、抗てんかん薬やドパミン作動薬などが使用され、症状の軽減に役立ちますが、副作用に注意が必要です。

睡眠環境の改善

快適な寝室環境の整備が重要です。快適なマットレス、静かな環境、適切な温度設定など、質の高い睡眠を促進する環境が大切です。

生活習慣の見直し

カフェインやアルコールの摂取を制限し、規則的な睡眠を確立しましょう。散歩などの適度な運動は、睡眠を改善するのに役立ちます。

ストレス管理

ストレスが周期性四肢運動障害の症状を悪化させることがあります。リラクゼーション法やストレス管理について学び、ストレスを軽減しましょう。

日常生活での留意点とは?

周期性四肢運動障害の影響は日常生活に及び、疲労感や不安、集中力の低下などを引き起こすことがあります。したがって、以下のポイントに留意することが重要です。

医師の指導のもとで治療する

効果的な治療のためには、医師の指示のもとで治療をすることが非常に重要です。医師は適切な治療法を提案し、必要な検査や薬物療法について指導します。医師のアドバイスのもとで治療することで、症状の軽減や管理が可能になります。

ライフスタイルの改善

健康的な生活習慣を実践することは周期性四肢運動障害の症状の管理に役立ちます。運動、食事、ストレスなどの改善、禁煙、アルコールは適量を目指しましょう。

共同生活者への配慮

周期性四肢運動障害の症状が共同生活者に影響を及ぼすことがあるため、パートナーや家族とのコミュニケーションが重要です。パートナーに症状や寝室の騒音について説明し、共同生活者の理解と協力を得ることが大切です。

安全な運転

周期性四肢運動障害による日中の眠気は、運転中の危険を増加させる可能性があるため、運転時に特に気をつける必要があります。眠気を感じた場合は運転を控え、安全を最優先にしましょう。

社会的サポート

家族や友人に周期性四肢運動障害について説明し、友人や家族にサポートを求めましょう。

症状の記録

症状やその頻度を記録することは、医師にとって有用な情報です。症状の変化や治療効果を追跡するために、睡眠日誌をつけることを検討しましょう。

まとめ

周期性四肢運動障害は治療可能な睡眠障害であり、適切な治療法や睡眠衛生の実践により、症状の軽減と質の高い睡眠を実現することができます。自身の健康と睡眠の質を向上させるために、医師と連携し、症状の管理に努力しましょう。

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野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など