限局性恐怖症とは
限局性恐怖症とはどのような疾患でしょうか?
限局性恐怖症(SP:Specific Phobia)は、現在DSM-5では「不安症・不安障害」に分類されており、特定の状況や対象物に対して、急激な恐怖と不安が襲ってきてしまう疾患です。
限局性恐怖症は、ICD-10 でいう、特異的恐怖症、個別的恐怖症とも関連が深いのです。
【特定の状況】飛行機・高所・動物・血液・ケガなど
蜘蛛・動物、血液・ケガ、高所・閉所等、様々な状況で、不安と恐怖が高ぶってパニック発作やパニック症の症状まで達してしまうことがあります。
このように、特定の状況に直面すると「即時」に苦痛な症状を呈してしまう事が特徴です。
限局性恐怖症いつから起きやすいの?
実は、限局性恐怖症は幼少期のころから生じやすい
動物に襲われた、などの危機的なエピソードをきっかけに、限局性恐怖症を呈してしまう事もありますが、多くの方たちは、特定の状況に対して恐怖を覚えた「きっかけ」は不明か覚えていないことがほとんどです。
大人になるまで持ち越してしまう事も
また恐怖症状は波があるものの、慢性的に経過をしやすく、成人まで持ち越してしまう事も少なくありません。
限局性恐怖症(SP)の診断とは
限局性恐怖症の診断に必要な要点としては、
・特定の状況や対象に対する恐怖や不安がある
・そのような特定の状況や対象にさらされると即時に症状が出現
・不安や恐怖を誘発する状況から避けたり、我慢して過ごしている
・症状は6か月以上継続している
といった要点をあげることができます。
成人期の限局性恐怖症の特徴とは
限局性恐怖症は小児期から生じやすいことは特徴ですが、その後も限局性恐怖症状が継続して成人期になるにつれて、限局した恐怖以外にも、その他の不安障害やパーソナリティー障害、双極性障害と関連性や合併も出てきてしまう点が特徴です。
そのために、限局性恐怖症の様に特定の状況を避けることで生活ができる疾患と異なり、他の不安障害群やパーソナリティー障害・双極性障害では社会的影響も比較的広範囲に及んでしまう事から、後から合併した不安障害や双極性障害がより上位診断名として扱われてしまうことが多いのが特徴です。
ですが仮に主体となる併存疾患があったとしても、限局性恐怖症の治療をしなくても良いという意味でも、我慢すべき症状という意味でもなく、合併・併存疾患と並行して、状況を把握しながら限局性恐怖症の症状のケアに努めることは大変重要です。
野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など