睡眠障害・不眠症でお困りではありませんか?不眠が及ぼす体への影響や治療法についてご説明いたします
突然ですが、睡眠障害・不眠症でお困りではございませんか?
5人に1人が不眠症といわれております。名古屋市栄の心療内科・精神科・メンタルクリニックのひだまりこころクリニック栄院も多くの方が不眠で来院されております。
生活習慣や勤務形態の多様化に伴い、あなたも知らず知らずのうちに睡眠障害・不眠症に陥ってはいませんか??
ここでは、睡眠障害・不眠症について、解説をいたします。不眠症を放っておくと、カラダやココロへも影響して調子を崩してしまうことも。不眠の種類や原因となる生活習慣を見直して、適切な治療法を学んでみませんか??
Q、夜働いて、昼間寝る生活ですが、よく休めずに困っています
A、 生活が多様化してきて、夜働いて昼間眠る、いわゆるシフトワーカー(交代勤務者)の数が増えています。特に、警察、消防、病院職員、警備員、タクシーやトラックの運転手など、夜間の勤務を余儀なくされる職種の人では、睡眠の障害だけでなく、身体的不調を訴えることが少なくありません。
昼間の睡眠には次のような障害がみられることがあります。すなわち、寝つきが悪く、中途覚醒が多く、早く目が覚めるといった症状です。睡眠の構造に関する検査でも、昼間の睡眠は、睡眠時間が短く、入眠直後にただちに深い睡眠に入ることが多くないなど、夜間の睡眠とは異なることが指摘されています。
昼間に良い睡眠がとれない理由としては、単に日中に騒音が多いことや明るすぎるといった睡眠環境の悪さだけでなく、体温やメラトニンのリズムが寝るための体制になっていないことも理由として挙げられます。
そのために、夜間勤務者には全身倦怠感、イライラ、眠気、注意力の低下、下痢や便秘など消化管の症状が高率に認められます。
交代勤務では、スケジュールの調整や、勤務明け日の生活の仕方などの工夫が必要となります。
症状の強い時には、高照度光療法や薬物療法などを行いますが、就業中の休憩時間に短時間の仮眠をとることも症状の軽減に役立ちます。
Q、睡眠不足は身体にどんな影響があるのでしょうか?
A、 いろいろな原因で夜眠れないと訴える人は、成人のおおよそ20%、すなわち5人に1人の割合といわれています。そのほかに、交代勤務で夜働く人(シフトワーカー)や、通勤・通学に時間がさかれ、慢性的に睡眠時間が不足している人がたくさんいます。
睡眠不足によって、日中の疲労や注意力・集中力が低下し、交通事故やうっかり事故に結びつくことがあります。それだけではなく、睡眠不足の人にうつ病などの心の病が多いという指摘もあります。
何よりも眠れないことの苦痛は、他人にはわかってもらえないつらいことであり、その心理的・精神的な負担が人生を暗いものにさえします。
そのような心理的・精神的問題だけでなく、残業をしたり、徹夜をするなどの睡眠不足によって、血圧が高くなる、血糖値が高くなるというデータもあります。また、肥満になりやすく、メタボリック症候群につながることが明らかになってきました。その一方では、さまざまな身体的病気が睡眠を妨げることにもなりますので、精神的にも身体的にも充実した生活をするためには、良い睡眠をとることがとても大切です。
Q、なぜ眠れないのでしょうか?
A、 夜がくれば眠くなって、床に入り、朝になれば目が覚める。そんな風になれば理想的なのに、いろいろなことで人は眠れない夜を過ごすことになります。原因となるものとして次のようなものがあります。
身体の病気
⇒身体の痛み、かゆみ、尿意、頭痛、ぜんそくなどの症状によって睡眠が妨げられるほかに、糖尿病、高血圧、呼吸器疾患や脳血管障害、パーキンソン病や認知症などの脳の病気でも睡眠の障害が起こります。
心の病気
⇒うつ病、不安障害、統合失調症などさまざまな心の病で不眠になります。
薬の影響
⇒降圧剤、ぜんそくの薬、精神を刺激する薬をはじめ、さまざまな薬で不眠が引き起こされることがあります。タバコやコーヒー、ときにはサプリメントに含まれている成分が不眠を引き起こすことがあるといわれています。
環境の影響
⇒室内温度、明るさ、騒音、同居人の生活リズムの影響など、"睡眠に適さない環境“が原因で睡眠が障害されることがあります。
心理的・社会的原因
⇒悲しい出来事、ストレス、興奮する出来事、仕事の重荷、心配性や神経質な性格、生活リズムの乱れなどが原因で不眠になることもあります。
不眠の治療には、原因を明らかにして、その原因を取り除くことが大切です。
Q、睡眠薬にはどのようなものがあるのでしょうか?
A、 以前は、「バルビツール酸系睡眠薬」と呼ばれるものが主体でしたが、今日では「ベンゾジアゼピン系睡眠薬」が中心です。ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、バルビツール酸系睡眠薬に比べ、安全で副作用が少なく、催眠効果もすぐれています。最近はω1(オメガ1)受容体と呼ばれる部位に選択的に作用する睡眠薬が用いられるようになってきました。
また、最近、従来の睡眠薬と全く異なる作用機序で、メラトニンという生体内物質の受容体に作用する睡眠薬(ラルメテオン)が入眠障害に対して使えるようになりました。その他に、脳の覚醒状態のオレキシンという生体内物質に作用する睡眠薬(スボレキサント)も使えるようになりました。
Q、睡眠薬はどのように使い分けるのでしょうか?
A、 薬は、体の中に取り込まれた後、血液中の薬物濃度が急速に高くなり、服薬後30~90分で最高値に達します。その後、徐々に分解されたり、体外に排泄されるので、血中濃度が減少していきます。血液中の薬物濃度が最高になってから、その値の半分になるまでの時間を消失半減期といいますが、睡眠薬は半減期が2~6時間の「長短時間型」、6~12時間の「短時間型」、12~24時間の「短時間型」、24時間以上の「長時間型」に分けられます。
不眠のタイプから、どのような半減期の睡眠薬を服用したらよいかの見当が付きます。寝つきの悪い場合には「長短時間型」や「短時間型」が好適になります。そうすることによって、翌朝は服用した薬の影響もなく、さわやかな目覚めが得られます。一方、中途覚醒や早朝覚醒の場合には半減期の長い睡眠薬が選ばれます。年齢とともに薬の代謝や分解が悪くなるので、高齢者では短い半減期の睡眠薬を少量から始めるのが良いでしょう。
消失半減期にかかわらず、睡眠薬は床に就く20~30分前に飲むようにします。
Q、長いこと睡眠薬を飲んでいますが、副作用の心配はありませんか?
A、 ベンゾジアゼピン系睡眠薬やそれに類似した非ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、昔よく使われていたバルビツール酸系睡眠薬に比べると、安全性が高く、間違って飲みすぎても死に至ることはほとんどありません。また、長く飲み続けても、重大な副作用はあまりありません。
ベンゾジアゼピン系睡眠薬の副作用でもっとも多くみられるのは、日中の眠気です。特に、「中間
型」や「長時間型」の場合、前の晩に服用した薬がまだ体内に残っていると、目が覚めてからも眠気が残ったり、ふらつきや集中力の低下が起こることがあります。このような現象を睡眠薬の「持ち越し効果」と呼びます。また、ベンゾジアゼピン系睡眠薬には筋肉の力を入りにくくする作用(筋弛緩作用)があり、このために人によってはふらつきや、力の抜ける感じがみられることもあります。特にお年寄りでは転倒の危険がありますので、薬を飲んで眠気やふらつきがあったら、かかりつけの医師に相談した方が良いでしょう。
また、稀にですが、夜中に目を覚まして自分がしたことや話したことを、翌朝になって覚えていないことがあります。このような記憶の障害は、特にアルコールと睡眠薬を一緒に飲んだ時に多くみられ、消失半減期の短い睡眠薬で起こりやすいことが知られています。
睡眠薬を服用していて、このような副作用がなければ、飲み続けてもかまいません。医師の指示に従って、きちんと服用することが必要です。自分だけの考えで勝手に飲み方を変えたり、習慣になるのではないか、薬のためにボケるのではないかなどと一人で心配していると、十分な薬の効果が期待できません。
なお、ω1受容体に選択的に作用する睡眠薬や、メラロニン受容体に作用する睡眠薬は筋弛緩作用や鎮静作用はそれ程強くなく、鎮静作用だけをもつ薬です。
Q、お酒と薬を一緒に飲んでも良いでしょうか?
A、 アルコールにも催眠作用がありますので、眠るために飲酒をする人は少なくありません。飲酒量にもよりますが、一般にアルコールは寝つきは良くなるのですが、眠りが浅く、また、利尿作用によって夜間排尿に起きることもあって、途中で目が覚めることが増えたり、早朝覚醒が起こったり、眠りの構造がアルコールによって変えられたりするので、朝目覚めた時の気分が悪いことにもなります。
また、アルコール依存を形成しやすく、量が増えたり、飲酒しないと我慢できない状態になったり、ときには肝臓障害などの副作用が現れることもありますので、お酒の力で眠ることはお勧めしません。
睡眠薬とアルコールを併用すると、ときに夜中に起きて行動したり、話したりしたことを覚えていないという記憶障害が起こることがあります。このようなことが起こるのは作用時間の短い睡眠薬に多くみられます。
また、睡眠薬とアルコールを併用すると、睡眠薬の効果が増強されることが知られています。その結果、お酒に酔いやすくなったり、睡眠薬の効果や副作用が増強されることになります。したがって、お酒と睡眠薬を一緒に飲むことがお勧めしません。
Q、睡眠薬をやめる時、どんなことに気をつけたらいいのでしょうか?
A、 眠れない原因が解決したり、不眠に対する心配や恐れがなくなって、よく眠るようになったら、薬をやめることを考えてもよいでしょう。
しかし、眠ることに自信がもてず、今晩は眠れるだろうか時になっているうちは、無理に薬を減らしたり、中止することはよい結果につながりません。睡眠時間に対するこだわりが強く、毎晩の睡眠時間や睡眠の状態が気になっている時は、薬を中止する前に、睡眠に対する考え方や、気がかりをなくすことが大切です。
体の痒みや頻尿のために眠れないような場合は、その原因を取り除きます。また、うつ病など不眠の原因となる精神的な原因がある場合は、それに対する治療を行います。
眠りについての安心感が出て、毎日がよい眠りと感じるようになった時は、次のようにして、薬をやめることになります。消失半減期の短い薬
⇒半減期の短い、長短時間型あるいは短時間型ベンゾジアゼピン系睡眠薬を服用している場合は、少しずつ睡眠薬の量を減らして、やがて中止します。半減期の短い薬を急にやめると、「反跳性不眠」(はんちょうせいふみん)と呼ばれる、かえって服用前より強い不眠が数日間続くことがあります。ω1選択性やメラトニン作動性の睡眠薬では、このような反跳性不眠は起こりにくいとされています。
消失半減期の長い薬
⇒長時間型の睡眠薬を服用している場合は、まず、服薬量を半分にするなどの方法で減らしていきます。次いで、服薬を1日おきにするなどして間隔をあけていき、休薬期間を徐々に延ばして、やがて中止します。
これらの方法は一人ひとりの状態にあわせて行うことが必要です。かかりつけ医師とよく相談しながら行って下さい。
Q、睡眠薬を使わない方法はありますか?
A、 眠れないときの治療として、睡眠薬を使うこと以外には、次のような方法があります。
自律訓練法
⇒睡眠に対して不安や注意が集中し、「眠ろう、眠ろう」とするとかえって眠れませんので、注意をほかに向け、全身の緊張を解き、気持ちを和らげる方法として自律訓練法があります。
体を楽にして、呼吸を整え、かじめは「手が重くなってきた」と自分に暗示をかけることを繰り返し、それができるようになったら、順次「右腕が温かくなってきた」「心臓がゆっくりと規則正しく動いている」「ゆっくりとした自然な呼吸である」と自己暗示をかける方法で心身の緊張を解くことで、睡眠に誘導します。
筋弛緩療法
⇒腕とか手を緊張させ、その部分をゆっくりと弛緩させます。頭、首、背部、胸部、腹部といった具合に、順次、一か所の筋肉の緊張と弛緩を繰り返し、筋肉の弛緩法を身につけたら、この方法を寝る前に行います。
刺激制御法
⇒眠ることに注意が集中し、寝室ではかえって眠れないときにこの方法を行います。「眠くなった時のみ床につく」「寝床は寝る時のためとして、それ以外の活動には使わない」「眠れなければ、眠くなるまで別の部屋で過ごす」「どんなに眠れない夜を過ごしても、朝は必ず一定の時間に離床する」「日中は昼寝しない」などを守るようにします。
高照度光療法
⇒1日のうちある時間帯に数十分から数時間、2500~10000ルクスの高照度光を当てる治療法です。季節性うつ病といわれる疾患や、睡眠‐覚醒リズムの障害、ある種の不眠に対して行います。
このほかに、森田療法をはじめとする精神療法、バイオフィードバック法などの行動療法、ビタミンB12投与。メラトニン投与などの治療法があります。
Q、よく眠るためにはどのようなことを心がければよいのでしょうか?
A、 それぞれの人が自分に合った良い睡眠のとり方の工夫を見出すことが大切ですが、厚生労働省の研究班による「睡眠障害の診断・治療ガイドライン作成とその実証的研究班」の報告書では、次のようなことを挙げられています。
睡眠障害対処の12の指針
1. 睡眠時間は人それぞれ。日中の眠気で困らなければ十分。
⇒睡眠の長い人、短い人、季節の変化、8時間にこだわらない。年をとると必要な睡眠時間は短くなる。
2. 刺激物を避け、眠る前には自分なりのリラックス法。
⇒起床前4時間のカフェイン摂取、就床前1時間の喫煙は避ける。軽い読書、音楽、ぬるめの入浴、香り、筋弛緩トレーニング。
3. 眠くなってから床に就く、就床時刻にこだわりすぎない。
⇒眠ろうとする意気込みが頭をさえさせ寝つきを悪くする。
4. 同じ時刻に毎日起床。
⇒早寝早起きでなく、早起きが早寝に通じる。日曜に遅くまで床で過ごすと、月曜に朝がつらくなる。
5. 光の利用でよい睡眠。
⇒目が覚めたら日光を取り入れ、体内時計をスイッチオン。夜は明るすぎない照明を。
6. 規則正しい3度の食事、規則的な運動習慣。
⇒朝食は心と体の目覚めに重要、夜食はごく軽く。運動習慣は熟睡を促進。
7. 昼寝をするなら、15時前の20~30分。
⇒長い昼寝はかえってぼんやりのもと。夕方以降の昼寝は夜の睡眠に悪影響。
8. 眠りが浅い時は、むしろ積極的に遅寝、早起きに。
⇒寝床で長く過ごしすぎると熟眠感が減る。
9. 睡眠中の激しいイビキ・呼吸停止や足のぴくつき・むずむず感は要注意。
⇒背景に睡眠の病気、専門治療が必要。
10. 十分眠っても日中の眠気が強い時は専門医に。
⇒長時間眠っても日中の眠気で仕事・学業に支障がある場合は専門医に相談、車の運転に注意。
11. 睡眠薬代わりの寝酒は不眠のもと。
⇒睡眠薬代わりの寝酒は、深い睡眠を減らし、夜中に目覚める原因となる。
12. 睡眠薬は医師の指示で正しく使えば安心。
⇒一定時刻に服用し就床、アルコールとの併用をしない。
人それぞれの生活習慣があるように、不眠症の原因は皆様それぞれの原因や症状がございます。
一つ一つの生活習慣の整理だけではなく、睡眠というココロとカラダのバランスを担う一番重要な行動をしっかりと見つめなおして、いっしょに睡眠障害や不眠症について治療に取り組んでみませんか??
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