生きづらさを抱えている人は必見!大人のADHDとは?
ADHDの気づきとは、普段の生活の「あれ…?」という違和感から受診につながることも
昔から「自分は他の子と違うな…」と思っていた。
あまり気にしていなかったけど、働き出してからは「なんで同じミスを繰り返すんだ」、「メモを取っているのか」と上司からよく叱られるようになった。
色々悩んでうつ病かなとネットを調べたけど、ピンとこない…。
もしかしたら、悩んでいる原因はADHDなのかもしれません。この記事ではADHDについてお話します。
ADHDってなに?
ADHD(Attenuation Deficit Hyperactivity Disorder)は日本語では注意欠如多動性障害と訳されます。生まれつきの脳機能の障害のため、不注意や衝動性といった困難を抱えます。
ADHDであっても、子どもの頃は親や友人のサポートがあったため「変わった子どもだな」と思われていただけで済むことも多いです。
でも、大人になると自分一人で色々なことをしなくてはいけず、ある程度高い「適応レベル」を周囲から要求されます。そのため、生きづらさを感じ、悩んで色々調べた結果、自分がADHDだったと気づくことも少なくありません。
ADHDの症状
症状からADHDは以下の3つのタイプに分かれます。
①不注意優勢型
しっかり注意できないことが主症状です。物事に集中できない、ケアレスミスが多い、物を置き忘れたりする、約束を忘れてしまうなどの行動上のミスが目立ちます。
②多動・衝動性優勢型
衝動性や落ち着きのなさが主症状です。失言してしまう、じっとすることが苦手、物事の優先順位が守れないことがあるといった行動上のミスが目立ちます。
③混合型
不注意優勢型と多動・衝動性優勢型の症状が同じ程度に見られます。
上に紹介した行動上のミスは、誰でもしてしまうものです。でも、ある程度大人になれば少なくなります。ADHDの場合は大人になっても子どものようにミスをしてしまい、日常生活に支障をきたしてしまったり、「ダメなやつ」など誤った周囲の評価に苦しんでしまうほどです。
ADHDの症状の原因
不注意や衝動的な行動の原因は脳にあると言われています。
脳の神経細胞の間を流れている神経伝達物質には情報を伝える働きがあります。神経伝達物質には色々なものがありますが、そのなかのドーパミンやノルアドレナリンがADHDの人の場合は不足しているのです。脳のなかで情報がきちんと伝わらないためぼんやりした状態になってしまい、注意散漫な状態になってしまうことが分かっています。
また、ノルアドレナリンとドーパミンは目的に向かって行動する機能も司どっています。ノルアドレナリンとドーパミンが不足することで、順序立てて行動できなくなるといった問題も起こってしまうのです。
ただし、ADHDの原因はいまだ完全には解明されていません。最新の知見だと、神経伝達物質ではなく脳のネットワークに問題があって、外からの刺激に対して脳の働きをコントロールするのが上手くできないからだという説も考えられています。
いずれにせよ、脳の障害であるというのが大きな仮説として挙がっている段階です。
不注意や不得意が、周囲からの間違った認識を生んでしまう事も
障害を知らない人のなかには「怠けている」とか「性格が悪い」、「親の育て方が悪い」と言う人もいます。
しかし、それは誤解です。脳の神経伝達物質にせよ、ネットワーク機能にせよ、自分ではコントロールできるものではありません。本人なりに頑張っていてもどうしようもできないのがADHDという障害です。
ADHDは治るの?
ADHDの治療で大切な考え方とは
一時的な心の病であるうつ病とは違って、ADHDを根本的に治すことは現在は難しいとされています。症状も、一生付き合わないといけない特徴と言えるものかもしれません。
でも、脳の機能の障害ということが分かっているため、逆に薬によってある程度不注意や行動をコントロールすることができます。ただし、薬は万能ではありません。本人がADHDの特徴を理解し、上手く付き合っていくコツを知ることも大切です。
ADHDの症状の対処法①薬
大人のADHDの薬で使われるのは、メチルフェニデート徐放錠やアトモキセチンです。2019年6月からはグアンファシンという薬も日本で使われるようになりました。いずれの薬も不注意や衝動性といったADHDの症状を和らげるのに効果があります。
副作用として頭痛、吐き気、食欲低下などが出ることもありますが、そんなに重くはありません。
ADHDの症状の対処法②心理社会的な介入
薬だけではADHDの症状を改善するのは難しいので、様々な心理社会的な介入や環境調整を行う事も効果的です。
例えば、以下のような環境の見直しは有効とされています。
・約束や予定を忘れないようにするため、スマホのリマインダー機能を使う
・内容を理解できるように、指示は簡潔に少しずつ出してもらう
・仕事の順位付けが分かるよう、仕事の手順を分けてチェックリスト化する
また、ADHDの症状が原因で人間関係に悩むことも少なくありません。そのため、対人関係のスキルを学ぶこともADHDによる生きづらさを改善するのに有効です。ソーシャル・スキル・トレーニング(SST)を受けることで、相手の気持ちを考えながら行動する方法(行動療法)を学ぶことも大切です。
まとめ
ADHDは脳の機能障害であり、一生付き合っていく必要がありますが、ADHDによる生きづらさをなくすには、自分の苦手とすることを把握し、どう工夫すればカバーできるのか考えることが大変効果があります。
ネットでもADHDについて調べることはできますが、限界があります。自分はADHDではないかと悩んでいる場合、心療内科クリニックを受診して相談してみましょう。
名古屋市栄のメンタルクリニック・心療内科・精神科のひだまりこころクリニック栄院は、大人の発達障害に対する、診断・治療も行っております。
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野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など