分離不安は状況を避けることで、不安をコントロールしていることも
【分離不安症】不安の強さとは
愛着ある人と離れることへの不安について
分離不安症は、愛着ある人や家から出たり、離れたりすることが、極端な不安や恐怖につながってしまう事を指しています。
しかし、愛着ある人達の象徴として「母親」「父親」などが挙げられますが、通常の発達・成長の過程で、そのような愛着ある人達と離れることに対する不安は、小児期から大人になるまでに年齢と共に変化をとげながらもある程度は存在している感情なのではないでしょうか?
分離不安症の不安とは
分離不安症の不安とは、正常な発達の過程で経験し予想される分離に対する不安の程度をはるかに超えています。
あるときは、愛着ある人達が離れてしまうかもしれないと極度の不安になるだけではなく、そのようなことを考えることで頭痛や腹痛などの身体症状が出たり、愛着ある人が存在しない場所や一人きりでは眠れない、更には夢にまで離別してしまうかもしれない悪夢を繰り返し見てしまう等の強い離別への不安や恐怖があるのです。
【分離不安症】知らないうちに不安を大きく感じすぎなように行動してしまっていることも
分離不安症の症状のために、幼少期や青年期には、学校に通う事や、キャンプや泊まりの行事などが行けなくなってしまう等、家に閉じこもってしまい、社会的な活動に影響を及ぼしてしまう事もあります。
このような経過を経て、成人になると更に会社や学校への継続的な出勤・出席ができないために、社会的な評価の低下や失業の原因になるなどの影響も大きくなってしまいます。
【分離不安症】自覚が乏しいことも特徴
学校や会社など愛着のある人と離れる行為を取らなければ不安は強くならず、また外出を避け家にいることや、愛着ある人と一緒に過ごすことで安心感を得られるために、なかなか病気として本人も自覚していないことも多いことが特徴です。
また「会えない不安」といった漠然とした想いを中心に抱いて過ごしている方もいらっしゃるので、周囲も本人も違和感を持ちづらいのかもしれません。
自分で行動を調整して不安をコントロールできるために、医療機関への受診が遅くなってしまう事も
このように、自分の行動を変化することで不安をコントロールしたり、「会えない不安」といった漠然とした想いや印象が強くなると、社会活動への影響が実際に大きくなったタイミングや、愛着のある人との別れ等を実際に迎えるまで、病気なのかもしれないと認識したり、医療機関への相談をするタイミングがなかなかできない方もみえるので注意が必要です。
もし、分離不安症・分離不安障害かもと思った方は、医療機関までお気軽にご相談くださいませ。
野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など