【幼少期・青年期の影響も?】パニック症になりやすい背景と心理的要因について
パニック症について
パニック発作という突然の発作の存在
パニック症とは、パニック発作という、呼吸の苦しさやのどの詰まり、動悸などの強い症状が、短期間のうちに急峻に悪化する症状が、おおよそ30分程度続いて軽快するという一連の発作症状を繰り返してしまうことを特徴としています。
そして、これらのパニック発作が、パニック症では「予期せず発作が起きることを特徴」としていますし、事実、多くの患者さんは突然症状が起きたことにびっくりされて、心療内科や精神科,メンタルクリニックへご相談される方は非常に多いです。
もう少し精神状態やストレス背景を俯瞰してみると、心理的要因が見えてくることも
しかし突如として起きるパニック発作や意図せずかかってしまったパニック症について、その時の精神状態やストレス背景を俯瞰してみると、パニック症と心理的要因について分かってきていることも多くあるのでこちらの記事で紹介をしています。
パニック症になりやすい心理的要因と心理的背景をひも解いてみる
パニック症になりやすい背景や考え方、心理面は少しづつですが報告がなされてきています。しかし、注意すべきことは「これらの要因や背景があるからパニック症がある」という訳ではなく、【パニック症を抱える方に、これから紹介する心理的要因や背景が関わっていたという報告が多かった】という点であることにはご注意ください。
【パニック症】の心理的要因や背景
幼少期や青年期の背景や環境でひも解いてみる
怒りの表出や、自己表現の苦手さ、離別、愛着障害、孤独感など、パニック症に関連する心理的要因や背景はいくつか紹介されています。
◆怒り感情に対するコントロールの苦手さ、耐性の低さ
◆肉親など重要な人物との、離別や死別などの別れの経験
◆親の支配的な姿勢・驚異的な姿勢への服従に対する強い違和感と自己の喪失、自我の表現の失敗
◆親の理不尽な行動に対する怒りと、親との離別に伴う不安の循環
◆自分の内面的表現の苦手さ
◆孤独感・孤立感、陥れられているという感情の継続
◆自己が抱えかねるほどの、社会的責任と業務の負担やその状況
など、様々な報告があります。
パニック症の治療として『認知行動療法』が有効な理由にも繋がる
先に紹介した、これらの心理的要因と背景は、家庭内や幼少期に抱くことも少なくありません。
また、幼少期や青年期にはからずも身に付けた感情は大人になっても、人間関係での課題や社会生活での支障に直面した時にも、少なからず影響しやすいとも考えられます。
このような幼少期や青年期の認知面の影響や心理的要因・更には背景やその考えに気が付きながら、より生活しやすい考えや心理面へと整えていくという手法は、パニック症をはじめとした不安症に関する治療としての、認知面の修正や認知行動療法などとして提案されることは、実臨床においても非常に沢山あります。
幼少期や青年期だけではなく、成人のストレス要因もある(ブログで紹介中)
もちろん、幼少期や青年期の影響ばかりがパニック発作の心理的要因でもありません。成人においても色々な背景や要因が重なることでパニック障害との関連性について指摘はなされています。成人における心理的要因についての詳しくはこちらのブログも参考にしてください。
さいごに
パニック症の心理的要因や背景について紹介をしました。
これらの心理的要因や背景がパニック症に必ず結びつくわけではありません。しかし、これらの心理的要因は当たり前に過ごしてきた本人だからこそ、なかなか気が付かれにくい側面もあるため、精神科や心療内科,メンタルクリニックなどの医療機関での通院や対話による診療を通して、少しづつ病気と向き合いながら、自己の考えと自らの適切な心理選択に気づいていくことも少なくありません。
野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など