ノンレム睡眠覚醒障害(睡眠時遊行症)
ノンレム睡眠覚醒障害の症状は?
ノンレム睡眠覚醒障害とは?
ノンレム睡眠覚醒障害(睡眠時遊行症)について解説をします。ノンレム睡眠覚醒障害(睡眠時遊行症)は、睡眠途中で突然起き上がって歩き回り、呼びかけにはあまり反応しないといった状態になってしまう病気です。
この記事では、ノンレム睡眠覚醒障害について解説を行います。
ノンレム睡眠覚醒障害の症状とは?
寝ている最中に体を起こし、立ち上がって歩き回りますが、目が覚めているように見えても意識は低下している状態です。周囲の状況をきちんと認識できていません。数分から30分程度で症状は自然になくなりますが、寝床に戻らず、他の場所で眠ってしまうこともあります。主に、次のような症状があります。
- 寝ている最中に体を起こし、立ち上がって歩き回る
- 話しかけても反応が鈍い
- 家の外まで歩いて行くことがある
- 階段から落ちるなどの危険な行動や暴力的な行動がある
- 障害物を避ける行動ができることがあるが、できないこともある
- 翌日、自分の行動を覚えていない
症状がある時には、『目覚めさせた方』がいいの?
ノンレム睡眠覚醒障害(睡眠時遊行症)の症状があるときに、本人を完全に目覚めさせた方がよいかどうか迷うかもしれません。しかし、無理に起こすと錯乱状態になったり、起こそうとした人に対して暴力的な行動とったりすることがあるため、穏やかに寝床に戻るように促しましょう。
また、本人だけで移動させず、周囲の方が寝床まで付き添うと、けがをするリスクが少なくなります。
ノンレム睡眠覚醒障害の原因は?
ノンレム睡眠覚醒障害(睡眠時遊行症)のはっきりとした原因はまだわかっていませんが、ノンレム睡眠から不十分に覚醒することで起こります。その他、睡眠不足やストレス、光や音といった環境刺激、認知症、遺伝、薬などの影響が原因とも考えられています。
ノンレム睡眠覚醒障害の受診目安
頻繁に症状が現れる場合や、本人や周囲の人に危険が及ぶ場合などは受診しましょう。子どもは、成長過程で見られることがあるため、翌日の活動に影響があるときは受診をおすすめします。大人は神経内科、子どもは小児科で受診するとよいでしょう。
どんな検査をするの
症状を話したり症状が現れているときの動画を見せたりして、典型的なノンレム睡眠覚醒障害と判断されると、特に検査は必要ありません。しかし、症状や経過が典型的ではない場合や他の病気と区別が必要な場合には、脳波検査、終夜睡眠ポリグラフ検査などを行うことがあります。
ノンレム睡眠覚醒障害の治療
毎晩症状が現れ、本人や周囲の人が怪我をするような状態であれば、治療が必要です。特に危険がない場合は、自然に症状がなくなるのを待ちます。危険な行動がない場合、たまにしか症状がない場合は特別な治療は行いません。
気をつけることは?
予防や治療後には、次のようなことに注意するとよいでしょう。
- 十分な睡眠時間をとる
- 生活リズムを見直す
- 強いストレスや疲れを避ける
- 寝る場所の光や音に配慮する
- 寝る前にはトイレをすませる
特殊な形のノンレム睡眠覚醒障害
ノンレム睡眠覚醒障害は、眠っている間にものを食べたり性行動を起こすものがあります。
睡眠関連食行動
眠っている最中に、食べ物を食べたり料理をしたりする病気です。本人は食べ物を食べた記憶がないにも関わらず、翌朝に食べ物を食べた形跡を確認して驚くといった形で自覚します。
睡眠関連性行動
眠っている最中に、自慰行為、愛撫、性交などを含む性的な行動が見られます。
睡眠時驚愕症もノンレム睡眠覚醒障害の仲間
睡眠時驚愕症は、眠っている最中に突然驚いたように目を覚まします。怖がっているような叫び声をあげ、瞳孔が開き、脈や呼吸が早く、汗をかくといった症状が現れます。周りの人が本人を落ち着かせようとしても、反応が鈍いため難しいのが特徴です。
また、寝床で身体を起こしますが、周囲の働きかけには反応せず、目が覚めたとしても錯乱した状態となっています。ひとりごとのように何かを話していることがありますが、内容は支離滅裂で、周囲の人は理解が困難です。本人はこれらの行動を覚えていません。
まとめ
今回は、主にノンレム睡眠覚醒障害(睡眠時遊行症)についてお話しました。ノンレム睡眠覚醒障害(睡眠時遊行症)は、睡眠途中で突然起き上がって歩き回り、呼びかけにはあまり反応しないといった状態になります。無理に目を覚まさせようとすると危険な行動を取ることがあるため、穏やかに寝床に戻るように促しましょう。子どもには珍しくない症状で、自然になくなっていくことが多いものです。
その他、特殊な形のノンレム睡眠覚醒障害や睡眠時驚愕症なども紹介しました。症状が頻繁だったり翌日の活動に影響があったりする場合は、受診を検討しましょう。
野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など