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2020.10.222020.10.23

ためこみ症について解説しております

ためこみ症とは

ためこみ症をご存知でしょうか?ためこみ症は長年にわたり継続し、次第に悪化しやすく、日常生活や社会的な影響を及ぼしてしまう疾患です。

昨今は、ごみ屋敷などが地域内で問題にあがりニュースで取り上げられることも増えたことから、メンタル疾患としてのためこみ症も注目されてきています

ためこみ症の位置づけとは

ためこみ症とは、精神疾患の分類で有名なDSMという基準では、以前のDSM-4における強迫性障害の症状の一部としての位置付けから、DSM-5 では強迫性障害とは異なる独立した疾患として認められ、強迫症及び関連症群としてカテゴリーをされるようになりました。

ためこみ症について解説をしております

ためこみ症の診断基準とは

DSM-5でのためこみ症の診断基準を簡単にまとめました。

基準A:捨てる、あるいは手放すことへの困難が持続している

基準B:意図的に所有物を貯め、それらを破棄する可能性に直面すると苦痛を感じる

基準C:貯めこみの為に、生活空間や活動できる場所がなくなるほどに一杯になり、散らかる

基準D:安全な環境が本人や他者にとって維持できない位の散らかしやため込みがあり、社会的・職業的に支障が出ている

基準E:脳の出血や腫瘍などの器質的疾患に起因するものではない

基準F:他の精神疾患では説明がつかない

の診断基準を満たす必要があります。

ためこみ症の診断基準A:一時的ではなく、継続的に所有物を処分することが困難である

特に、基準Aでは、引っ越しや何らかの事情で一時的に散らかっていることを指しているのではなく、所有物を処分する困難さを表しています

所有物のためこみは、雑誌や新聞や洋服などの時期や本来の使用用途を鑑みて不要であると感じられたり、所有する価値が著しく落ちるものから、他者から見ても十分に価値がある物と認められるものまで、幅広くため込む特徴があります。

ためこみ症の診断基準B:愛着や不釣り合いな有用性の価値観を見出してしまい、破棄できない

ためこみ症の方は、ため込んだ物質に対して破棄することが非常に困難です。その理由としては、ため込まれた物質に対して、不釣り合いな有用性や価値観を見出してしまって破棄できなかったり、時には愛着を感じて破棄ができないような状況に陥ってしまっているのです。

ためこみ症の診断基準C:生活空間への圧迫や、意図した使用方法が行えないくらいとり散らかっている

ため込んだ物質のために、ベッドで眠れない、台所が使えない、歩く場所がない等だけではなく、散らかった物本来の使用方法が行えないくらい散らかってしまっていることを指してします。

ここで重要なことは、倉庫や物置きや地下室のような場所での取り散らかりを問題にしているのではなく、あくまでも居住スペースなどの活動するための日常生活空間で支障があるという点が重要です。

ためこみ症に関する情報をひだまりこころクリニック栄院が解説しています

ためこみ症の診断基準D:生活や社会的な活動に支障が起きてしまっている

ためこみや散らかりのために、安全な環境が維持できない、生活や社会活動に支障が起きてしまっていることも診断に大切な項目です。

ためこみ症の診断基準E:脳の器質的疾患の除外も重要

ためこむ事や物の価値観や有用性に対する影響は、ためこみ症だけではありません。

脳炎や脳腫瘍など、脳の器質的疾患に関連して出現することもあります。その際には、視覚や知覚面などの影響も大きく関わっていることもあるかもしれません。

ためこみ症の診断基準F:他の精神疾患の可能性ではない

うつ病による、思考の制止がある場合には、片付ける意欲や判断力が低下して散らかってしまう事や、日常生活ができないくらいに家庭内で影響を与えてしまう事も少なくありません。

また、自閉症スペクトラムなどに関連した特定の嗜好や、統合失調症に関連する妄想や、強迫症の強迫観念などの精神疾患の影響でもためこみ症様の症状を呈することが十分にあるので、そのような疾患が影響していないかは確認する必要があります。

心療内科ひだまりこころ栄院

ためこみ症はゆっくり悪化していく事も多いのが特徴

ためこみ症は、10代の若年から発症することが多いのですが、最初は症状が軽く、10年ごとに悪化するような印象を持たれるくらい、緩徐に生活機能に支障を来し始めることが多いのです。そのため、50代で家の中の荒廃が顕著になって家族間で問題となったりすることも多いのです。

また、必ずしもためこみ症の本人が生活に対する支障や障害に対して自覚が訳ではないために、周囲からの関わりは時としてとても大切となります。

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野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など