クリニックブログ

2020.12.172023.06.17

DSM‐5のコミュニケーション障害

コミュニケーション障害についてご紹介しています

コミュニケーションといえば、いつからか「コミュ障」という言葉が若い世代を中心に広がってきました。「空気が読めない」とか「疎通性が乏しい」といった場合に使われることが多いようです。

言葉の響きもさることながら、「あの人は怒りっぽい」「あの人は涙もろい」と同じレベルで、「コミュ障」という言葉が使われているのには、少し違和感を覚える方も多いのではないでしょうか。ケアを必要とする疾患であるはずの「コミュニケーション障害」が、まるで性格の一形態のように扱われている点が大きく影響しているからなのかもしれません。

コミュニケーション障害には、様々なイメージがある

それはおそらく、“コミュニケーション”の多様性や、“障害”という言葉の曖昧さと関係があるように思います。本来コミュニケーションは決まった型があるものではありません。どこからが障害でどこまでが個性なのか、つかみにくいものなのではないでしょうか。さらには、コミュニケーションが多少不自由だったところで、例えば肢体不自由のような“障害”とはとらえにくい、といったこともあるかもしれません。それはある意味、表向きにはコミュニケーション至上主義でありながら、実際はコミュニケーションを軽視している現代の風潮を表しているようにも思えます。

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DSM-5でのコミュニケーション障害とは

では改めて、「コミュニケーション障害」が、医学的にはどう扱われているのかみていきましょう。

今回は、アメリカ精神医学会が設定しているDSM-5という診断基準をもとにご紹介していきたいと思います。

DSM-5では、神経発達症群/神経発達障害群のコミュニケーション症群/コミュニケーション障害群として、以下の疾患が分類されています。

言語症/言語障害

話す、書くといった言語の習得や使用に困難さを有する障害です。

言語症/言語障害<症状>

以下のような言語能力全般の乏しさから、社会参加や学業成績、職業的能力に制限がかります。

  • 語彙の乏しさ
  • 文章を組み立てる力の乏しさ
  • わかりやすく話す力の乏しさ

<発症年齢>

症状の始まりは発達期早期(乳幼児期)だといわれています。

<診断要件>

聴力やその他の感覚、運動機能の問題、原因となる身体疾患などがないことが条件です。また、全般的な知的や発達の遅れがある場合も、言語障害には該当しません。

語音症/語音障害

思っていることを上手く言葉にして話すことに困難さを有する障害です。

語音症/構音障害<症状>

思っている言葉を正しく発音できないため、本人の考えが周囲に伝わらず、社会参加や学業成績、職業的能力に制限がかります。

<発症年齢>

症状の始まりは発達期早期(幼少期)だといわれています。

<診断要件>

脳性まひや口唇口蓋裂、難聴、頭部外傷などによる症状ではないことが条件です。

小児期発症流暢症(吃音)/小児期発症流暢障害(吃音)

言葉を流暢に発することに困難さを有する障害です。

<症状>

言葉を流暢に発する力が、実年齢に対して明らかに低く、社会参加や学業成績、職業的能力に制限がかります。また、話すことに不安を感じやすくなり、コミュニケーションを回避しがちになることも言われています。具体的には、以下のような症状がみられます。

・言葉の繰り返し

・母音や子音の延長

・単語の途中での休止

・遠回しな言い方(言いづらい発音の言葉を避けるため)

・会話の際の過剰な体の緊張 など

<発症年齢>

症状の始まりは発達期早期(幼少期)だといわれています。大人になってからこうした症状が現れる場合は、成人期発症流暢症と診断されます。

<診断要件>

身体的な問題や、脳腫瘍や頭部外傷などによる症状ではないことが条件です。

社会的(語用論的)コミュニケーション症/社会的(語用論的)コミュニケーション障害

社会生活における効果的なコミュニケーションに困難さを有する障害。

<症状>

以下の症状によって社会参加や学業成績、職業的遂行能力に制限がかります。

1.周囲の人との挨拶や情報共有といった、社会生活上不可欠なコミュニケ―ションを適切な形でとることが難しい

2.状況や相手に合わせたコミュニケーションを取ることが難しい(目上の人と友人で話し方を変える、遊び場と学校で話す内容を変えるなど)

3.会話の社会的な共通ルールに従うことが難しい(話す順番を入れ替える、誤解された時に違う言葉で言い換えるなど)

4.ユーモアや隠喩、慣用句の理解や、状況に応じた言葉の解釈が難しい

<発症年齢>

症状の始まりは発達期早期(幼少期)だといわれていますが、能力の限界を超えた社会的なコミュニケーションが要求される年齢になるまで、気づかれない(問題にならない)場合もあると言われています。

<診断要件>

こうした症状が、自閉スペクトラム症や、知能や発達の遅れではうまく説明できないときに診断されます。また、神経疾患や、言語的な能力の低さによるものではないことも条件です。

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特定不能のコミュニケーション症/特定不能のコミュニケーション障害

この診断名は、コミュニケーションを困難にする症状があるものの、上記のコミュニケーション症および、神経発達症群(発達障害)の診断基準を完全には満たさない場合に用いられます。また、特定の診断を下すだけの十分な判断材料がない場合に用いられるケースもあります。

最後に

今回は、DSM-5のコミュニケーション障害について解説しました。

いずれの疾患も、その症状によって社会生活に影響が出ているかどうかが診断のポイントです。ですが、お子さんの場合、自分ではなかなか気づきにくい可能性もあるため、周囲が早めに気づいて専門機関につなげてあげることが大切です。

参考資料:

日本精神医学会(監)(2014)『DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引き』医学書院

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