双極性障害(躁うつ病)とは?
双極性障害(躁うつ病)とは?
概要
双極性障害(双極性感情障害)は、気分が著しく高揚する「躁」状態と、気分が著しく落ち込む「うつ」状態を繰り返す慢性的な精神疾患です。これにより、患者の生活の質や日常生活に大きな影響を与えます。以前は「躁うつ病」とも呼ばれていました。
双極性障害の症状
躁状態の症状
躁状態では、エネルギーが異常に高まり、以下のような症状が現れます。
✅過度の自信とエネルギー➡自己評価が過剰に高くなる。
✅睡眠の必要が減少➡睡眠時間が短くても疲れを感じない。
✅過剰な社交性➡社交的になり、他人との関わりを求める。
✅軽率な行動➡無謀な運転、過度の浪費、無計画なビジネスなどのリスクを取る行動が増える。
うつ状態の症状
うつ状態では、エネルギーが著しく低下し、以下のような症状が現れます。
✅深い悲しみや絶望感➡気分が沈み、何をしても楽しめない。
✅極度の自己批判や罪悪感➡自己評価が極端に低くなり、罪悪感に苛まれる。
✅無気力や疲労感➡日常の活動に対する興味や関心がなくなる。
✅自殺念慮➡死にたいと思うことが頻繁にある。
双極性障害のタイプ
双極性I型
双極性I型は、少なくとも1回の完全な躁エピソードと、通常は複数回のうつエピソードを特徴とします。躁エピソードは非常に激しく、しばしば入院が必要になることがあります。
双極性II型
双極性II型は、主にうつエピソードが長く続き、時折軽い躁状態(軽躁状態)が現れます。軽躁状態は気づきにくく、単極型のうつ病と誤診されることがあります。
診断と治療
双極性障害の診断は、精神科医による詳細な評価が必要です。特に、躁状態とうつ状態の両方の症状を把握することが重要です。治療は薬物療法と心理社会的療法の併用が一般的です。
薬物療法
✅躁状態の治療➡リチウム、バルプロ酸、抗精神病薬などが用いられます。
✅うつ状態の治療➡オランザピン、クエチアピン、ラモトリギンなどが用いられます。
✅気分安定薬➡気分の波を安定させるためにリチウムやラモトリギンが使われます。
心理社会的療法
✅精神療法・認知行動療法(CBT)➡認知行動療法は、思考パターンや行動を変えることで気分を改善します。
✅家族療法➡家族との関係を改善し、サポートを得ることが治療の一部となります。
✅教育とサポートグループ➡双極性障害に関する知識を深めることで、患者とその家族がより良く対処できるようになります。
注意点
双極性障害は、単極型のうつ病とは異なり、治療法も異なります。症状の波が激しいため、適切な治療を受けることが重要です。診断と治療には専門医のサポートが不可欠です。また、治療を継続し、自己管理を行うことが回復と安定に繋がります。
日常生活への影響
双極性障害は患者の日常生活に大きな影響を与えることがあります。職場や学校でのパフォーマンスの低下、人間関係の問題、財政的な問題などが生じることが多いです。これらの問題に対処するためには、治療計画の一環として薬物療法だけではなく、日常生活の管理も重要です。
野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など