醜形恐怖症/身体醜形障害の特徴・診断基準について
醜形恐怖症・身体醜形障害について
醜形恐怖症/身体醜形障害という疾患をご存知ですか?
DSM-5では、強迫症・強迫性障害に関する関連障害群として、分類されている疾患です。
醜形恐怖症とはどんな症状なのか?
みずからの身体的な外見や知覚をもとに、自分が魅力的ではない・醜い・ゆがんでいる・時には化け物に見えるといった考えをもってしまう事が特徴です。また、それは一般的に見れば非常に些細な身体的な特徴であるか、もしくは全くそのような容姿でないにも関わらず、本人は強く信じて考えにとらわれてしまっていることも特徴です。
醜形恐怖症の診断とは
醜形恐怖症には4つの診断基準があります。
醜形恐怖症の診断基準A:身体上の外見の欠点に本人はとらわれているが、他人にとっては認識できないものか、些細なものの程度である
本人は、自分の身体的外見に対して、醜い・ゆがんでいるという強い考えを持っているが、他人にとってそのような認識に至るような外見的特徴はないことが特徴です。
醜形恐怖症の診断基準B:醜いゆがんでいるという考えが強いために、鏡で確認をしたり、隠そうとする、姿を変えようとしたり、他人との外見の比較を行う
醜い・ゆがんでいるという認識のために、鏡を見て何度も確認をしたり、髪や化粧や服などで隠そうとしたり、姿を変えようとする行為をとったり、どのように周囲から見えているのか実際に確認をすることで安心を得るなどの行動をとりやすくなります。
醜形恐怖症の診断基準C:このような強い囚われた感情のために、生活面での支障が起きている
外出ができない、人と会うのがおっくうになる、身づくろいや鏡の確認などに時間が大きくかかる、美への追求や筋肉・体づくりへの希求が生活へ大きく影響をしてくるなどの状況が起きやすくなります
醜形恐怖症の診断基準D:太っている事や体重等の摂食障害に関連する心配事とは異なっている
身体的な外見や特徴に対する認識のゆがみから、醜形恐怖症はしばしば、摂食障害を併発することはあります。それぞれが同時に診断されることはありますが、摂食障害の診断基準と醜形恐怖症の診断基準は違うという事を示しています。
醜形恐怖症は自覚症状が乏しいことが問題を大きくしてしまいやすい
醜形恐怖症の方は、自覚症状が不十分である事が多く、強く自分の姿が醜いと認識しており、他人の否定的な意見が全く届かないこともあります。あるいは、一部の他人の意見は間違っているかもしれないといった部分的な病識を有していることもあります。
そのために、自分の外見の欠点を完全に確信的であると判断してしまい、化粧や整形、更には筋トレなどを必要以上に継続してしまう事があります。
本人の感じる欠点を改善するような処置をしても、症状の軽快には繋がりにくいことが醜形恐怖症の特徴でもあります
醜形恐怖症に特徴的な本人の確信する外見の欠点というのは少々複雑で、整形や隠すことで醜形恐怖症の症状が回復するかと言えば、実はそういうわけではありません。
多くの場合には、症状の緩和がされないか、あるいはその行為を行ったことによる傷や処置の痕跡を気にして余計に、醜形恐怖症の症状が悪化してしまう事も特徴です。最近では化粧や整形・筋トレなどを際限なく繰り返して、逆に健康を害したり、衝動買いや借金など社会的な関係を大きく壊してしまう事があるので注意が必要です。
野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など