醜形恐怖症・身体醜形障害の頻度・症状について。醜形妄想と感じる理由とは
醜形恐怖症は自覚症状が乏しい場合もあります
醜形恐怖症は、特に自分の外観や身体的な特徴を、醜い・ゆがんでいる・化け物の様に見えるといった、思いが強くなってしまう事が特徴です。
このような本人の気にしている身体的な特徴は、周囲の人たちから見ても、軽微であるかそのような不快な思いに至らないような外観の特徴であることがほとんどです。
ですが、周囲の人たちがどれだけ、「そんなことない」「気にしすぎ」と言っても、そのような否定的な意見は醜形恐怖症の本人には届きづらく、自分の見解は正しいという強い信念を抱いていることがほとんどです。そういう点で醜形妄想という感覚を周囲が抱くことは実は多いのです。
醜形恐怖症が本人に与える影響とは
自分の外見に対する不快な感情が強くなり、自分の外見のせいで周囲が不快に思うかもしれないといった不安や、何度も自分の外見を触ったり見たりすることに時間をとられてしまったり、変化を求めて美容商品の衝動買いや、体を壊してしまう程のジム通いをしてしまう、美容整形を繰りかえし、どんな出来栄えでも満足がいかない。という悪循環を繰り返してしまうために、社会生活や日常生活が大きな支障を来してしまうのが特徴です。
具体的な影響としては
人によっては1日数時間以上鏡を見つめている、プロテインなどの極端な食事管理や筋トレを行う、美容用品など極端な衝動的な買い物、髪の毛を整える行為が何時間も続く、化粧や服など自分の欠点と感じるところを隠すための行為に時間がかかる等です。
醜形恐怖症の頻度について
醜形恐怖症の有病率は世界では1.5%~2.5%と考えられており、女性の方が有病率が高いと言われています。また、皮膚科・美容形成・歯科の審美矯正などの患者さんの中にも一定の割合で、醜形恐怖症の方がいらっしゃると言われており、醜形恐怖症の外見に関連した不快感が影響している結果と考えられます。
年齢も、10代での発症が多いのですが、突然の発症ではなく、たいていは気になる・心配といった兆候から始まり、症状の悪化や障害化していく傾向があるという点が特徴で、慢性的な経過をとります。
醜形恐怖症は経過とともに合併症も多い
醜形恐怖症では摂食障害やうつ病、不安症、依存、パーソナリティ障害などです。また外見を憂慮した結果に関連する自殺企図の頻度も高いことには特に注意が必要です。
野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など