治ったり悪くなったりを繰り返す自律神経失調症!忙しいからと放っておかないで!
体にはどこも悪いところはないのに、何だか熱っぽい、便秘がち、イライラするなど不快な症状が出ることはありませんか。それは自律神経失調症の可能性があります。
でも、「何か調子が良いときもあるし、仕事で忙しいから病院はいいや」と、つい億劫になったりしていませんか。この記事では自律神経失調症とは何か、どうして女性は自律神経失調症になりやすいのか。どうして女性は自律神経失調症の症状が変動しやすいのかを簡単にお話します。
自律神経失調症ってなんだろう?
心臓や胃、肺、腸、そして脳などの臓器は手や足などとは違って、私たちが意識的にコントロールしなくても働いてくれます。それは自律神経が調整してくれるからです。自律神経失調症とは、この自律神経のバランスが崩れることで生じる症状のことです。
自律神経とは
自律神経には交感神経と副交感神経の2つがあります。
交感神経は活動するときにメインで働く神経です。脈や呼吸などを早くするなど体が動けるようにします。反対に、副交感神経は休むときにメインで働く神経です。脈や呼吸をゆっくりさせ、体がリラックスできるようにします。
交感神経と副交感神経はどちらも必要なものであり、バランスが取れていることが大切です。
自律神経失調症の症状
自律神経失調症では交感神経と副交感神経のバランスが崩れ、特に交感神経が働きすぎの状態となって以下のような様々な症状が出ます。
- 頭…頭痛、抜け毛、頭が重く感じられるなど
- 目…目の渇き、目の疲れなど
- 耳…めまい、耳鳴りなど
- 口…口が乾くなど
- のど…どもり、食べ物を飲みこみづらいなど
- 心臓…ドキドキしやすい、胸が痛いなど
- 肺…息苦しいなど
- 胃…食欲がわかない、胃が痛い、吐き気など
- 腸…便秘、下痢、腹痛、お腹の張りなど
- 膀胱…頻尿、残尿感など
- 手足…しびれ、震え、冷えなど
- 皮膚…かゆみ、痛みなど
- 筋肉・関節…関節痛、肩こり、筋肉痛など
- 全身…微熱、ほてり、だるい、疲労感など
- 精神…不安、イライラ、眠れない、集中できないなど
自律神経失調症の原因
自律神経が乱れる大きな原因として、以下の4つがあります。
- ①自律神経の乱れ
- ②ストレスが多い
- ③性格(完全主義な性格や細かいことを気にしやすい性格など)
- ④夜更かしなどの生活リズムの乱れ
上記の原因の中で特に自律神経の乱れが、なぜ女性に自律神経失調症が多いかに関係してきます。
どうして女性の自律神経失調症患者が多いのか
女性ホルモンは脳の視床下部と呼ばれる部分によってコントロールされます。この視床下部は自律神経系のバランスを担う部分でもあります。そのため、女性ホルモンの変化が自律神経系のバランスに影響してくるのです。
病院受診の勧めと簡単なケア方法
どうして女性の自律神経失調症は変動しやすいのか
女性は生理周期によって女性ホルモンのバランスが変わってくるため、症状が出やすい時期や比較的落ち着いている時期があります。「最近は調子いいし、今は仕事が忙しいから病院はまた今度でいいや」と思う人もいるかもしれません。
しかし、いくら体には原因はないからといって自律神経失調症を放っておくと、うつ病やパニック障害などの精神疾患を併発したり、不整脈や糖尿病などの心身症を招く恐れがあります。
症状は体からのSOSのサインだと受け止めて、心療内科などのクリニックを受診するようにしましょう。
自律神経失調症のセルフケア方法について
また自律神経の乱れを整える方法として、簡単なセルフケアがいくつかあります。クリニックの治療と並行して行うことで、症状を早く改善できるでしょう。
セルフケアとして、以下があります。
自分の月経周期を知る
自分の月経周期や体調が悪くなるパターンをひと月ごとに記録していきましょう。そうすれば、「そろそろ体調が悪くなりやすい時期だから、無理はしないようにしよう」と前もって判断することができます。
食事
食事に関する自律神経失調症の直接の影響に関する研究ははまだまだはっきりした結果が出ていないことも多いです。一部の報告に栄養面では自律神経の働きを整えるビタミンB群やストレスへの抵抗を強めるビタミンC、神経のバランスを整えるセロトニンを調節する働きのあるビタミンDでなどの報告もありますがまだはっきりとはしていません。
サプリメントを積極的に摂って生活してほしいという事ではなく、バランスの取れた食生活を心がけることをおすすめいたします。バランスの取れた食事は疲労などの回復にも影響しますので、ストレスなどを原因とした自律神経失調症のセルフケアとしては大切です。
睡眠
睡眠リズムを整えるコツは、朝日です。起床後30分以内にカーテンを開けて、明るい部屋で朝食を取りましょう。それだけで体内時計がリセットされます。
もちろん、就寝時間や睡眠時間も大切です。特に夜10時~深夜2時は睡眠のゴールデンタイムと呼ばれるほどです。この時間帯にしっかり眠ることで、質の高い睡眠がとれます。
まとめ
自律神経失調症は体には異常はないとはいえ、放っておくと大きな病気に繋がります。女性ホルモンのバランスの変化によって症状が比較的落ち着くこともあるため、「まだ病院に行かなくてもいいや」と思うこともあるかもしれません。でも、体からのSOSサインなので、きちんとクリニックを受診しましょう。
- 野村紀夫 監修
- ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
- 保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
- 所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など