広場恐怖症と限局性恐怖症
広場恐怖症と限局性恐怖症の違いは何でしょうか?
ここでは広場恐怖症と限局性恐怖症に触れながら違いについて解説を行っております
広場恐怖症について
広場恐怖症とパニック障害の関連性の変遷
DSM-4の診断基準までは、広場恐怖症はパニック障害の症状の一部あるいは、パニック障害の症状の結果として生じた、疾患と考えられていました。
しかし、DSM-5ではパニック障害の有無にかかわらず広場恐怖症が報告されていたことを受けて、広場恐怖症はパニック障害の有無にかかわらず独立した疾患として位置づけされたのです。
広場恐怖症の症状の特徴とは
広場恐怖症の発症しやすい場所とは
広場恐怖症は、広大な敷地における、症状の誘発の様に感じられるかもしれませんが、現在では特定の広大な敷地だけを指すのではありません。
自制できない症状や状態、更にはパニック発作が起きた時に、自分が安心できる場所へ逃げられないかもしれない、あるいは誰かが手助けをしてもらえないかもしれない、といった不安を抱きやすい場所を指しています。
つまりは、橋や広い店舗、駐車場や公園だけではなく、駅や映画館、電車や飛行機、更には車やタクシー、エレベーター等、すぐに助けを呼べないかもしれない場所や状況を想定できる場所を特徴としています。
【広場恐怖症】診断基準で重要な要素とは
診断基準では、以下の5つの状況の内2つの存在が該当する必要があります
【状況①】電車やバス、飛行機や自動車などの公共交通機関
【状況②】橋や公園、駐車場など広い場所
【状況③】映画館、店、駅などの囲まれた場所
【状況④】列に並んでいる、人ごみや群衆などの人に囲まれている事
【状況⑤】1人で家の外にいる時
上記の状況の内、2つ該当することが重要であり、必ずしも該当の場所で、パニック発作を起こすことは必須ではなく、そのような該当の場所で、何か起きたり助けを呼べないかもしれないといった不安や緊張が高まり、回避してしまう事も広場恐怖症では認めています。
【限局性恐怖症】診断基準で重要な要素とは
特定の(多くの意義は1つ)状況下での恐怖や不安の増強が限局性恐怖症の特徴です
【動物や昆虫】クモやヘビ、ムカデ、ゴキブリ、馬、犬、猫などの特定の動物
【場所】飛行機や船、エレベーター、閉所、高所など
【自然】雷、水場、嵐など
【血液・ケガ等】血液、ケガ、注射器、針、刃物、先端の尖ったものなど
【疾患】伝染病や性感染症など
これらの状況下で、恐怖や不安がたちまち起きてしまう事を限局性恐怖症といわれております。
広場恐怖症と限局性恐怖症との違いとは
広場恐怖症や限局性恐怖症では、飛行機やエレベーター、映画館などの閉所や、デパートなどの高所などでの状況下での不安や緊張の高ぶりといった点は、似ている箇所も多いです。
「特定の場所の限局性恐怖症」か、「2か所以上の状況での広場恐怖症」かという違い
ですが、限局性恐怖症では、特定・おそらく多くの意義は1つの状況や物に対する恐怖であるのに対して、広場恐怖症では、診断基準にもあるように2つ以上の状況下での症状が診断で必要であるという点も違いとしては重要です。
「恐怖に対する想いはさまざまな限局性恐怖症」に対して、「直ちに逃げ出すことのできない状況や助けの得られない状況に不安を感じる広場恐怖症」という違い
限局性恐怖症では、血を見ることへの恐怖や伝染病に感染してしまうかもしれない恐怖、雷が自分に落ちてくるかもしれない恐怖や、飛行機が落ちてしまうかもしれない恐怖など様々です。
もちろん、飛行機や閉所・高所などでは、広場恐怖症で感じる「逃げられない」「助けを得られない」恐怖と共通する部分もあるかもしれませんが、限局性恐怖症では高所や閉所であっても、落下してしまうかもしれない恐怖、故障で身動きが取れなくなってしまうかもしれない恐怖も含まれるように、不安や恐怖に感じる原因や意義は限局性恐怖症では比較的広い印象にあります。
広場恐怖症や限局性恐怖症では、生活や仕事などの活動への影響が非常に大きな疾患です
自宅への引きこもりや、職業への制限や行動への制限など、影響が大きい疾患であると同時に、早期の対応が予後を大きく左右しますので、お一人で悩まれず、心療内科・精神科・メンタルクリニックなどの医療機関へご相談されることをおすすめいたします。