クリニックブログ

2020.03.252024.04.01

大人のADHDに知ってほしい!周囲と上手くやるための仕事の工夫

ADHDを抱えている大人は、子どもの頃と違った、生きづらさを感じやすいです。しかし、その生きづらさはADHDの症状ではなく、周りとのやり取りの結果生まれることが多いです。でも、ちょっと工夫することで、生きづらさを変えることができます。

この記事では、ADHDの人が生きづらさを解消するためのヒントをいくつかご紹介します。

ADHDでお困りの方は心療内科までご相談ください

ADHDの症状ではなく周りとのやり取りがうつ病を生む

ADHD(Attenuation Deficit Hyperactivity Disorder)では生まれつきの脳機能の障害のため、不注意や衝動性といった注意や行動のコントロールが上手くできません。その結果、ケアレスミスや失言が多いといった行動面での問題が出てきてしまいます。しかし、ADHDの行動面の問題がうつ病や生きづらさに直結するわけではありません。

 

ADHDの生きづらさはなぜ起きるのか

ADHDの生きづらさは、本人の症状だけが生むものではありません。周りとのやり取りの中で生まれてくることが多いです。

例えば、ADHDの不注意は以下の流れを繰り返す結果、うつ病パニック障害などの病的な症状が出てきます。

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【ADHDの方が感じる生きづらさと、うつ病やパニック症状の関係とは】

ケアレスミスや忘れ物、遅刻などの失敗の積み重ね

甘えや怠け、能力が低いと誤解されて、叱られる

自信を失う

自分はダメな人間だと思い込む

うつ病やパニック障害へ結びつく

心理療法やカウンセリング治療の相談なら心療内科やメンタルクリニックへ

【ADHDの方が感じる生きづらさと、アルコール依存やネットゲームなどの引きこもりとの関係とは】

また、ADHDの衝動性は以下の流れを繰り返す結果、アルコール依存やネット・ゲームへの引きこもりに陥りやすいとも言われています。

衝動的に話してしまう、考えずに行動してしまうため、周囲とトラブルを起こす

「自分勝手」、「親のしつけが悪い」などと周りの人は思い、ADHDの人を避けてしまう

疎外感を感じる

「どうせ自分は周りの人から嫌われている」と思い込む

ゲームやネットの世界に居場所を見つけたり、アルコールにおぼれる

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ADHDはうつ病を引き起こしやすい

アメリカの古いデータですが、Kesslerが2006年に行った調査によると、大人のADHDの人の38.3%にうつ病などの気分障害が見られ、47.1%にパニック障害や恐怖症などの不安障害が見られました。一方、日本での全ての人の12カ月有病率(過去1年間にその病気になった人の割合)は気分障害が3.1%、不安障害が4.8%と比較でした。Kesslerの調査は昔のデータですし、当時のアメリカと今の日本ではADHDについて認識に違いがあると思います。しかしこれらの結果から、ADHDの人はそうではない人と比べうつ病に陥りやすいと考えられます。

心療内科ひだまりこころクリニック栄院がADHDについて解説

ADHDの人におすすめの仕事の工夫

ADHDの原因として、脳の神経伝達物質やネットワーク機能の問題が有力視されています。つまり、ADHDの症状である不注意や衝動性は、脳の機能の問題のため起こるものなのです。やる気と努力でどうにかできるものではありません。でも、工夫することでカバーできます。

工夫①抜け漏れやミスはエクセルでタスク管理して減らすことも

仕事に関する情報をエクセルの表などにまとめておくと忘れずに仕事できたというADHD当事者がいるほど、エクセルはタスク管理に向いています。

仕事のカテゴリや内容、発生した日、締切、現在の状態など、仕事についての情報はエクセルに入力しましょう。

工夫②重要な書類を入れる箱を作る

重要な書類を入れる箱を作るメリットは2つあります。第一に、物をなくしてしまうという問題を防げます。第二に、机の上がある程度キレイになります。机の上が散らかっていたら誰だって集中できません。ADHDの人なら多動性の症状があるため、なおさらです。そのため、仕事に集中しやすくなり、ケアレスミスを減らせます。

工夫③アラーム機能を使って、必ず休憩をとる

不注意とは逆に、時間を忘れるほど過度に仕事に集中しすぎてしまうといったこともADHDでは起こります。集中できるのはいいことですが、過剰に集中すると、その後疲れ切ってしまいます。そのため、適宜休憩を取れるようアラームを使って時間に気づく工夫も大切です。

工夫④報告・連絡・相談もマニュアル化する

仕事上の相談や報告がきちんとできなくてトラブルになることもよくあります。そのため、どうすればよいか自分にとってのマニュアルを作っておくと、報告・連絡・相談もしやすくなります。

(例1)報告のタイミングが分からない

→毎日16時に報告するなど、定期的に報告するタイミングを予め上司と決めておく

(例2)報告すべき内容がきちんと話せない

→どのように報告すればよいか、あらかじめ報告の例文を具体的に教えてもらう

口頭ではなく、文章やメールで報告させてもらう

名古屋市栄のひだまりこころクリニック栄院

まとめ

ADHDは脳の機能障害であり、やる気や根性では仕事のミスは減りません。ミスをすることは周囲からの悪い評価につながり、職場での居心地の悪さを招き、ストレスを増やすという悪循環になります。

この記事では仕事でできる工夫をいくつかお話ししました。もっと自分に合った工夫を知りたい場合は、心療内科・メンタルクリニックなどを受診して医師や公認心理師へ相談してみましょう。

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ADHD・注意欠陥多動性障害に関する詳しい説明はこちらから

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野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など