双極性障害とは何でしょうか?
双極性障害とは
双極性障害は気分の落ち込みや、憂鬱、無気力などの症状と、気分が高まったり、高揚した気分になったりなどの躁状態を繰り返す病気です。
性格や育ちの問題ではなく、脳の影響や、脳の病気の可能性を指摘されています。
双極性障害の頻度について
双極性障害は、実は誰でもかかりうる病気で、決して珍しい病気ではありません。
100人に1人程度の発症率であるとされており、双極性障害は男女の性差はないとされております。特に20歳から30歳ごろに発症することが多いとされていますが、それ以降の年齢や、それよりも若い方の発症も認められる幅広い年齢で発症する病気です。
双極性障害にはタイプがあります
双極性障害の種類には2種類あって、抑うつ状態と、激しい躁状態の繰り返しがある、双極Ⅰ型の方と、うつ状態と軽い躁状態が繰り返される双極Ⅱ型があります。
特に、双極Ⅱ型の方たちの軽い躁状態とは、本人でも「上がっている」と感じることが強くないために、軽い躁状態を病的症状と感じず、うつ病と診断されて、治療の経過や診察の経過で、双極Ⅱ型と診断に至ることもあるのです。
双極性障害と、うつ病は異なるものとして判断されています
うつ病と、双極性障害は、DSM5分類では別のカテゴリーとして捉えられているのです。うつ病では気分の落ち込みや抑うつといった症状が継続する病状であるのに対して、躁うつ病では周期的に躁状態とうつ状態が出現してしまう病気なのです。
躁状態とはどのような状態なのでしょうか?
躁状態の時
・自分でもエネルギーにあふれている
・何でもできてしまう感覚がする
・元気で疲れ知らずな状態
・急に偉くなったり、立派になったような気分
・多弁、おしゃべりになる
・怒りっぽくなる
・イライラなどがおきやすくなる
うつ状態の時
・気分が落ち込む
・だるくて、体が重い
・やる気がなくて、体が動かない
・楽しいと思えない
・何をするにもおっくうである
・疲れやすくて、だるい
・消えてしまいたい、ここから逃げ出したいなどの考えが浮かぶ
双極性障害の診断は難しい
双極性障害の診断には、躁状態のエピソードとうつ状態のエピソードが必要なのです。しかし、多くの患者様の場合は、躁状態ので医療機関受診は少なく、うつ状態が継続して受診されるために、最初はうつ病と診断されて、経過や症状を診ていくうちに躁うつ病として診断をなされる方もいるのです。
ある報告によっては、うつ状態の患者さんの16%が双極性障害であったとの報告もあります。また、双極性障害とうつ病では治療薬が異なるために、双極性障害の症状に応じてお薬の追加や変更が必要となることがあります。
躁状態などのエピソードなど、本人だけではなく、ご家族の方や周囲の人たちからも意見を聞いて、医師に報告し相談をするようにしましょう。
野村紀夫 監修
ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など