クリニックブログ

2020.05.082024.04.01

レクサプロ(エスシタロプラム)の効果や副作用、作用機序について解説をしております

レクサプロ(エスシタロプラム)の効果や副作用についてご紹介

レクサプロ(一般名:エスシタロプラム)は精神病治療で使用される医薬品のひとつです。

抗精神病薬の中でSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)という分類に属します

今回はレクサプロについての解説していきたいと思います。

精神科領域の医薬品を勉強中の方や精神科の医師に診断・処方された方は是非参考にしていただければと思います。

レクサプロの処方についての説明をおこなっております

レクサプロ(エスシタロプラム)の適応症とは?

レクサプロは、うつ病・うつ状態、社会不安障害に適応が通っている薬剤です。

例えば、気分が晴れずに落ち込んだり、悲観的になるなどの心の症状を改善し、気持ちが前向きになるのを助けるお薬です。

この医薬品がどのようにして効果が得られるのか、効果や副作用について詳しくみていきましょう。

レクサプロ(エスシタロプラム)の作用機序は?

先ほどもお伝えした通り、レクサプロはSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)に分類されます。

この作用機序には人間の体内に元々存在するセロトニンと呼ばれる神経伝達物質が深く関係しています。

セロトニンとは、脳内で働く神経伝達物質のひとつで、感情や気分のコントロール、精神の安定に深く関わっており、不足すると脳の機能の低下が引き起こされたり、心のバランスを保つことが難しくなります。

セロトニン不足は、ストレス障害やうつ不眠症・睡眠障害などの原因になる可能性があることもわかっています。

うつ病の治療薬であるレクサプロの作用機序とは

うつ病の原因説:モノアミン仮説

モノアミン仮説によると、うつ状態にある患者さんはこのセロトニン濃度が低下し、正常に作用しづらくなっていると言われています。

セロトニンはシナプス後ニューロンにあるセロトニン(5-HT)3受容体に作用し、シナプス間隙に貯まったセロトニンは、セロトニントランスポーターにより再取り込みされ、再利用されます。

SSRIはセロトニンを放出するシナプスのセロトニントランスポーターに選択的に作用し、セロトニンの再取り込みを阻害することによって結果的にセロトニン濃度がある程度高く維持されます。

 

日本で発売されているSSRIは4種類あり、その中でも一番新しいのがエスシタロプラム(レクサプロ)です。

レクサプロの発売が2011年のため、まだジェネリック医薬品が発売されていません。

レクサプロ(エスシタロプラム)のメリットは?

レクサプロは2019年12月現在、一番新しいSSRIということで他の精神病薬を比較してメリットが多いお薬です。

続いてレクサプロの有効性や他の医薬品と比較して優れている点をご紹介します。

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①1日1度の服用で効果が持続

エスシタロプラム(レクサプロ)は1日1回の薬です。

1日数回服用しなければならないタイミングがあるとつい飲み忘れてしまい、なかなか効果が安定しないことがあります。

レクサプロは飲み忘れが少ないタイミングで1度服用すればいいので、比較的楽に続けることが出来ます。

②効果が高く副作用の頻度が少ない

精神病薬は副作用が多く心配される方が多いかもしれませんが、レクサプロは他の精神病薬と比べて、セロトニンのみを増加させるという点が優れています。

そのため、他の神経伝達物質を増加させることによる副作用(口渇、体重増加、眠気、ふらつき、便秘など)の発現頻度を下げることができるのです。

ことことからレクサプロは他の精神病薬と比較して、効果と副作用のバランスが良く、はじめやすく続けやすい医薬品でもあります。

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③服用を中止した後の離脱症状が少ない

精神病薬の服用を続けていると、薬が体にあるのが当たり前になってしまい中止することによって体に不調が生じることがあります。

例でいうとしびれ、耳鳴り、めまい、頭痛、吐き気などの身体症状や、イライラ感、そわそわ感、不安、不眠などの精神症状があり、その症状に苦しみなかなかやめることができない方もいらっしゃいます。

その点、レクサプロでも起こることはありますが、レクサプロ(エスシタロプラム)は徐々に減量することにより離脱症状が少ない医薬品だと言われていますので精神科医も選びやすい医薬品だと思われます。

 

エスシタロプラム(レクサプロ)の副作用や注意点は?

レクサプロは効果と副作用のバランスが優れていて治療の初回導入として使用されることが多いお薬ですが、注意点もいくつかありますのでご紹介します。

レクサプロの副作用や注意点について解説をしております

①賦活症候群(アクチベーション シンドローム)

飲み始めに注意すべきこととして、賦活症候群(アクチベーション シンドローム)があげられます。

賦活症候群はSSRIなどの抗うつ薬の副作用の一種で、中枢神経刺激症状の総称であり、初期刺激症状とも呼ばれます。

主にSSRIやSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)の投与初期(特に2週間以内)や増量期に起こりやすいと言われています。

賦活症候群(アクチベーション シンドローム)とは、中枢神経系を刺激してしまうことで、気分が高揚してしまったり、不安、焦燥、不眠、などが起こったりするのです。

このような症状が強く、悪化してしまうとリストカットなどの自傷や、自殺行為に至ってしまう事があり注意が必要となる場合もあります。

このような症状が見られた場合にはすぐにかかっている病院を受診し中止か減量、別の抗不安薬や抗精神病薬に切り替えることをおすすめします。

②胃腸障害

エスシタロプラム(レクサプロ)の副作用として最も多いのは、下痢や吐き気といった胃腸障害です。

このような症状が起こるのはレクサプロによるセロトニン刺激作用が原因だと考えられています。

セロトニンは脳だけでなく、胃腸にも作用してしまう結果、胃腸が動いてしまい、吐き気や下痢を引き起こします。

レクサプロによる胃腸症状は飲み始めもっとも発現頻度が高く、徐々に慣れていくことが多いです。

③QT延長症候群

またエスシタロプラム(レクサプロ)は、心電図異常のリスクが懸念されており、添付文書にも記載され注意喚起されています。

心電図異常のなかでもQT延長症候群という危険な心室性不整脈に発展する可能性があることが報告されていますが、これはどの精神病薬でも起きる可能性のある副作用です。

不整脈をお持ちの方は先生に相談してみると安心できるでしょう。

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まとめ

今回はうつ病やうつ症状、社会不安障害に対してのレクサプロの作用機序や効果、注意点について解説させていただきました。

精神疾患の診断はとても難しく自分がうつ病だと診断されても「なぜ私が?」「信じられない…」と理解できないこともあるかもしれません。

しかし、薬の効果が出てくることによって、今の症状が軽快したり、病状を踏まえた療養生活が徐々に安定してしてきますので、医師の指示に従って焦らずゆっくりと治療を進めていくことが重要です。

助けが必要であれば信頼できる家族やパートナー、友人などに相談してみるだけでも光が見えてくることもあります。

日本人は真面目で我慢強く耐えることをしがちですが、心の平安を保つためには自分を悲観的に捉えず、我慢しないこともとても大切ですのでゆっくり自分と向き合う時間をとってみましょう。

 

ジェイゾロフト(セルトラリン)のお薬に関する説明はこちらから

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野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など