クリニックブログ

2020.02.192024.03.30

パニック障害の症状や原因、治療薬について

パニック障害の症状

パニック障害は、強い不安や恐怖に突然襲われる疾患です。具体的な症状については、「パニック発作」「予期不安」「広場恐怖」の大きく3つにわけられます。

パニック障害の診断や治療なら心療内科へご相談ください

パニック発作

動悸や息苦しさ、冷や汗やめまいなどが起きて、「このままでは死んでしまうかも…」という強い不安に襲われます。症状が起きやすいのは、電車や飛行機、バスなどの閉鎖された空間や人ごみなどです。電車では各駅停車は大丈夫だけど快速や特急は苦手という方が多く見られます。

予期不安

発作を一度経験すると「また急に発作が起きたらどうしよう」と、再び発作が起きてしまうことを心配するようになるものです。これを予期不安と呼んでいます。

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広場恐怖

逃げたくても逃げられない場所へ行くことに恐怖を感じてしまう症状です。発作の再発を恐れて外出を拒んだり電車や人ごみを避けたりするようになります。発作が起きても逃げられないことに加えて、誰にも助けてもらえない場所がとくに苦手とされる方が多いことが特徴です。

パニック障害の原因

パニック障害はストレスや心理的な不安が原因と言われていますが、ハッキリとした原因がいまだにわかっていません。今のところ原因として考えられているのは、遺伝や性格、何らかのトラウマやストレス・疲労などです。

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確かな原因はわかっていませんが、パニック障害が起こるそもそもの引き金はセロトニンであると考えられています。セロトニンが不足することでノルアドレナリンが過剰に分泌されやすくなり、体がストレスへ過剰に反応するようになってしまうのです。そのためパニック障害の治療にはセロトニンを増やしたり調節するようなお薬がよく使われます。

日常で気をつけたいこと

ムリに人ごみに行ったり電車に乗ろうとしたりしても、過度なストレスがかかって発作を起こす原因となってしまいます。そのためまずは1駅だけ電車に乗ってみたり、とりあえず駅まで行ってみたりと、段階的に体を慣らしてあげることが大切です。「これくらいなら大丈夫」というステージを少しずつ増やしてあげましょう。

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パニック障害に使われる治療薬

パニック障害の治療では、お薬を使ってパニック発作や予期不安を抑えていく方法が一般的です。治療に使われるのは主に抗うつ薬と呼ばれているお薬となります。パニック発作を起こりづらくするするお薬(抗うつ薬:SSRI)と、発作が起きたときのレスキュー薬(抗不安薬:ベンゾジアゼピン系)として使うものをうまく組み合わせて治療を進めます。

SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)と症状に応じてべンゾジアゼピン系をまずは併用していき、SSRIの効果が見られたころにベンゾジアゼピン系のお薬を減薬していく方法が一般的です。発作時のレスキューとしては、ベンゾジアゼピン系を頓服で使用します。

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ジェイゾロフト(一般名セルトラリン)

セロトニンを選択的に増やしていくSSRIに分類されている治療薬です。パニック障害の患者さんには、うつ病を併発しているケースもよく見られます。ジェイゾロフトはセロトニンを増やす働きがメインにはなりますが、わずかながらドパミンを増やしてあげる効果も持っているのが特徴です。そのためうつ病も併発している方に使いやすいお薬と言えます。

投与したお薬の量に比例して血中濃度が上がっていくので、他のSSRIと比べて予想以上にお薬が効きすぎてしまう心配がいりません。SSRI全般に言えることですが、副作用としては消化器症状が起こりやすいことが知られています。ジェイゾロフトでとくに見られやすい副作用が下痢や吐き気です。ただし、このような消化器症状は数日から1週間程度の継続である事が多く、初期と比べて時間の経過とともに軽快・改善する症状であるために、パニック障害の治療効果と副作用のバランスが良いことから続けやすいお薬として認識されています。

心療内科 ひだまりこころクリニック栄院はパニック障害の診断治療も行っております

 パキシル(一般名パロキセチン)

パキシルもSSRIに分類されるお薬です。抗不安作用と抗うつ効果をもつことから、広く使用されています。パニック障害の他に強迫性障害や外傷後ストレス障害などにも適応を持ちます。5mg10mg20mgと細かく規格があるほか、ゆっくり溶けていく徐放錠もあるので、症状に合わせて量を調節しやすいのが特徴です。効果の切れ味が良いのも使いやすさの要因でしょう。

他のSSRIと比べると、わずかにノルアドレナリンの量を増やす効果もある点が違いとなります。また抗コリン作用もあるので眠気の副作用に注意しなければなりません。体重増加や消化器症状も起こりやすい副作用です。

名古屋市の心療内科ひだまりこころクリニック栄院へご相談ください

ワイパックス(一般名ロラゼパム)

ジェイゾロフトやパキシルなどの抗うつ薬はパニック発作を起こりにくくするためのお薬で、どちらかというとパニック発作が起きないように治療と予防の意味合いが強くなります。

一方でワイパックスなどのベンゾジアゼピン系はパニック発作が起きた、あるいは今まさに起きそうな時のレスキュー薬として使用することが多いです。ベンゾジアゼピン系と呼ばれるお薬が用いられる疾患の中では「パニック障害」に使われることが多く知られています。

ワイパックスは噛んで服用しても問題ないため、突然のパニック発作でも水なしですぐ服用できるのが大きな特徴でしょう。即効性があり、不安や緊張を速やかに抑えてくれます。眠気が出やすく依存性があることも知られていますが、作用時間が短いため13回までわけて飲むことが可能です。ですが、あくまでもレスキュー薬。パニック発作そのものの回数を減らしたり起きにくくするわけではないので、基本的な治療はジェイゾロフトやパキシルのようなSSRIによる治療でパニック発作を減らしていく治療と予防が重要となります。

心療内科ひだまりこころクリニック栄院へパニック障害の治療も相談ください

まとめ

パニック障害は強い不安に襲われることから、日常生活が制限されてしまうことも少なくありません。セロトニンの不足がパニック発作に関係しているため、セロトニンの量を増やすお薬が治療に用いられます。パニック発作を予防するお薬と、発作が起きてしまったときに飲むお薬とを使用しながら治療を進めていきます。

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  • 野村紀夫 監修
  • ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
  • 保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
  • 所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など