パニック障害になった家族にどう接するの?正しい知識と傍にいてあげることが大事!
パニック障害を一生に一度は経験する割合は、100人に1人弱と言われています。決して稀な病気ではありません。家族あるいは友人などがパニック障害になったけど、どうサポートしたらよいか悩んでいる人も少なくないでしょう。
この記事では、家族がパニック障害になった場合にどうサポートしたらよいかについてお話します。
家族がパニック障害になったときの支え方
家族がパニック障害になったとき、支え方として大事になるのは①パニック障害について正しい知識を持つ、②傍にいて安心させる、③自分だけでサポートしようと思わないの3つです。
①パニック障害について正しい知識を持つ
パニック障害とは、体には異常はないのに死ぬかと思うほど息苦しくなったり、心臓がドキドキする発作が起きるという精神疾患です。本人がパニック発作を起こすところを目の当りにしたら家族はびっくりして何か後遺症が残るのではないかと心配になるかもしれません。
でも、後遺症は残らないので安心してください。だからといって、「その場だけ苦しいだけなんだ」と軽く思ってもいけません。死ぬかもしれないと思うぐらいの発作が突然やってくるのは、非常に恐ろしいものです。
パニック障害の原因はストレスや疲労などが原因である事が多いです。「育て方が悪かったからストレスに弱い人間になった」と誤解されるご家族もいるかもしれませんが、育て方はあまり関係ありません。そのため、自分を責めないでください。
なお、昔の知識でパニック発作を起こしたときは紙袋を口にあてたほうがよいと考える人もいるかもしれません。しかし、このペーパーバック法は今では誤った治療法とされています。確かに呼吸が落ち着いてくるので効果がある気がするかもしれませんが、脳に酸素が足りなくなってしまう恐れがあります。
②傍にいて安心させる
パニック障害を患っている人に家族あるいは友人として接する上で一番大切なのは、「普通に接すること」です。「ストレスで病気になるなんてかわいそうだからと優しくしなければ…」と思われるかもしれません。でも、腫れ物に扱うような態度は、パニック障害を患った人にとって気づまりになります。また、「何もできなくてごめんね」という言葉も、突き放されたように感じるのでNGです。できるだけ、いつも通りに接してあげましょう。
家族に一番行ってほしいサポートは、買い物や外出に一緒に行くことです。パニック発作を起こした人は外でパニック発作を起こすのではないかと不安を抱えています。パニック発作を起こすことも怖いですし、外でパニック発作を起こしたときに周りを騒がしてしまうと恥ずかしいという思いを抱いているためです。
そのため、一人で買い物や外出に行くことができなくなる人もいます。買い物など外出するときに一緒に行くと、パニック障害を患った人は安心できます。もし、外で家族がパニック発作を起こしたときには背中をさすったり、声かけなどして安心させてあげましょう。本人もパニック発作で死ぬことはないと普段は分かってはいますが、それでもパニック発作時には非常に苦しくて怖いもので不安や恐怖もとても大きくなっています。
背中をさすられたり、声をかけられると、不安や恐怖が少しは和らぎます。他にも、パニック発作が出たときには不安を抑える抗不安薬などの頓服が有効なので、すぐに薬を飲ませてあげましょう。
外出先についていくなど、家族が付き添う機会の中で、パニック症状が出ても家族がいてくれたから辛さが軽減されたと本人が次第に経験していく事は重要です。
このような経験が積み重なって、外出できる、外出が怖くない、更にはいつもの場所なら一人でも外出できるかもしれないといった、気持ちが本人の中で、少しづつ湧いてきやすくなります。
また、診察に同行するのもサポートして有効です。パニック障害についての情報はネットでも調べられますが、本人の病状に合った情報はクリニックでしか得られないからです。
もし一緒に住んでいるのなら、薬をきちんと飲んでいるか見守ってください。パニック発作が起きなくなると、「もう薬を飲まなくても大丈夫」と自分で判断して勝手に薬の服用を止める人もいますが、症状が逆戻りしてしまう恐れがあります。早く完治させるためにも、薬を減らすのは医師に相談を行ってからというのを徹底させましょう。
③自分だけでサポートしようと思わない
パニック障害の治療は、どんなに少なくとも半年以上はかかる方が多いです。その間、必ず外出時にはついていく、発作が起きたら安心するように声をかける、病院にも同行するなど一人で全てサポートしていたら、今度はサポートする家族が疲弊してしまいます。
サポートしてくれた家族が疲弊してしまうことは、パニック障害を患っている本人からすると申し訳なさでいっぱいになります。パニック障害の治療は長期戦です。家族みんなでサポートする心づもりでいましょう。
まとめ
家族がパニック障害になった場合にサポートとして望ましい行動は、①パニック障害について正しい知識を持つ、②傍にいて安心させる、③自分だけでサポートしようと思わないの3つです。パニック障害の治療はどんなに早くても6か月以上かかることが多いといわれています。焦らず見守っていきましょう。
野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など