クリニックブログ

2020.03.102024.04.01

ただの心配とは違う全般性不安障害!あれこれ心配になるようなら一度は受診をおすすめ

心配したり、不安になったりすることは、誰にでもあるものです。また、「受験に合格するだろうか…」と不安に思うから勉強するといったように、不安は行動のエネルギー源ともなる大事なものです。しかし、度を超した不安や心配は私たちを苦しめます。この記事では、自分でもコントロールできない程に度を超えた不安が招く病気である「全般性不安障害」とは“何か”、どうやって治療していくのかなどをお話しします。

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全般性不安障害とは?

全般性不安障害とは、色々なことが不安になってしまう病気です。あるときは、自分が重い病気になっているのでは心配になります。またあるときは、子どもがいじめられていたら…。夫がリストラされたら…。次から次へと不安の種がどんどん出てくるのです。

全般性不安障害と心配性との違い

「全般性不安障害はただの心配性と違うの?」と疑問に思う人もいるでしょう。全般性不安障害と心配性は、以下のように違います。

 

全般性不安障害    心配性
本人が苦しんでいるか  

  • Yes
  • (例)理由がなく解決できない不安をたくさん抱えているので苦しい
   No
行動面に大きな影響が出ているか  

  • Yes
  • (例)心配事で頭が埋まり、手早く仕事ができない
   No
精神症状・身体症状が出ているか  

  • Yes
  • (例)不安が強くて、眠れない
  • ずっと緊張しているので、肩こりや頭痛がひどい
   No

 

「本人が苦しんでいるから治療が必要な不安」が全般性不安障害と言えます。しかし、日本では心配性な人が多いため、また医師であっても全般性不安障害を知らないこともあるため、全般性不安障害が病気と認識されないことは珍しいことではありません。肩こりや頭痛といった症状で内科にかかる人の場合は、自律神経失調症と診断されることもあります。

全般性不安障害の特徴について心療内科が解説

しかし、正しい診断をされなければ適切な治療を受けることができません。全般性不安障害の専門は心療内科や精神科なので、もし不安や心配で生活に影響が出るほど困っているという場合は心療内科・精神科クリニックを受診しましょう。

全般性不安障害の症状のメカニズム

全般性不安障害になる原因として、不安になりやすい性格や、親が過保護に育ててきたため不安に対処する能力が十分に育たなかった、遺伝的になりやすい因子があるなど色々考えられて報告されています。しかし、これだという決定的な要因はまだ分かっていないのです。

症状の中核は、どうにもできないぐらい強い不安です。ずっとあれこれと不安な状態でいることで心身ともに緊張した状態が続きます。そうするとエネルギーがどんどん減ってしまうため、ちょっとしたことでも動揺してしまったり、何かに集中するということも困難になるといった精神面での症状が出てきます。また、エネルギーが減っていることがだるさに繋がったり、ずっと緊張状態でいることが肩こりや頭痛といった身体症状にも繋がってくるのです。

心療内科メンタルクリニックのひだまりこころクリニック栄院です

全般性不安障害の治療方法

全般性不安障害はうつ病と併発しやすいです。全般性不安障害の人の60%が既にうつ病を併発している、あるいはいつかうつ病を併発すると言われています。またほかの不安障害などの合併も多いために、全般性不安障害を放置しておくことは望ましくありません。「もしかして自分は全般性不安障害ではないかな?」と思われたなら、早めに心療内科や精神科クリニックを受診したほうがいいでしょう。

心療内科ひだまりこころクリニック栄院が全般性不安障害について解説

精神科クリニックでは以下のような治療が行われます。

治療初期 薬物療法

不安・心配が尽きない状態でいくら「大丈夫ですよ」という言葉を聞いても、安心できないでしょう。そのため、治療の最初の段階では、薬を使って不安な気分を和らげます。抗不安薬という薬には不安や緊張を和らげる効果が、抗うつ薬には気分を安定させる効果があります。また、中核症状である不安が落ち着いてくることで、他の精神症状や身体症状も落ち着いてくることが多いです。

治療中期~後期

ある程度不安が落ち着いてきたら、認知面の見直しや社会適応能力の見直しなども大切です。全般性不安障害にかかる人は神経質な人や敏感な人が多いとされており、全般性不安障害にかかることにより、更に物事を実際よりもオーバーに捉えてしまい、不安を増幅して感じてしまっていることが多いです。また、不安に陥ったときの対処法としてリラックス法を覚えるのも再発防止として有効です。

なお、治療中期~後期でも薬物療法は継続して行われます。お薬は、足が悪い人にとっての杖のようなものに例えることができるかもしれません。杖がなくても多少は歩けるかもしれませんが、あまり歩けませんし、無理をすると足が痛くなったりします。お薬も同じで、いきなり薬を止めても多少は過ごせるでしょうが、数日間も薬がない状況でいたら症状がぶり返したり、悪化したりしてしまう事が多いのです。薬を止めるかの判断は自分では行わず、必ず医師と相談しましょう。

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まとめ

あれこれと心配になってしまう全般性不安障害。日本ではもともと心配性な人が比較的多いために、最初は病気と認識されにくいです。でも、本人が症状で苦しんでいるのなら、我慢し続けるのではなく、それは治すべきものです。もし不安・心配な想いで苦しんでいるのなら、一度心療内科や精神科クリニックを受診してみましょう。心配性と診断されて、取り越し苦労ならそれでよいですし、全般性不安障害だと分かったのなら適切な治療を受けることができます。また症状が進行する前であればある程、治療の期間を短縮することが可能となります。

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野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など

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