人間関係リセット症候群について
SNSや人間関係をリセットしたくなる時はありませんか?
「本音をなかなか言えず、ついつい合わせてしまう。人と関わるのがしんどい…」
「人間関係が嫌で、SNSのアカウントを消去してしまった」
人間関係は切っても切り離せません。生活していくためには、誰かしらと関係しており、その関係の中でストレスを感じることも少なくありません。
上記のように、人間関係でストレスを抱えて、関係を急にリセットしてしまうことは「人間関係リセット症候群」と呼ばれます。
本記事では、人間関係リセット症候群の3つの特徴について紹介しました。
人間関係リセット症候群とはなに?
『人間関係リセット症候群』とは、正式な病名ではありませんが、関わりのある人達との関係を、急遽絶ってしまう現象を指します。
「人間関係リセット症候群」では、例えば…
- つい勢いで連絡先を消去したり
- SNSを退会したりするなど
このような人間関係のリセットを繰り返してしまうことがあります。
場合によっては…
- 人間関係がうまく行かずに転職を繰り返す
- 複数回の離婚を繰り返してしまう
正式な病名ではありませんが、背景に何らかの精神疾患や特性上の問題が影響している場合もあるでしょう。
【人間関係リセット症候群】3つの特徴とセルフチェック
人間関係リセット症候群は、どのような特徴があるのでしょうか。
原因や行動の特徴には次の3つに分けられます。
人間関係リセット症候群の特徴①:本音をいえる人が少なく1人が安心する
- 本音を言える相手がいない
- 人を信用できない
- 一人での遊びや食事が好き
人をあまり信用できないと、「本音を話しても分かってくれない」という気持ちがあり、人間関係でのストレスをため込みがちです。そしてストレスが限界に達すると関係を切ってしまうのです。
人間関係リセット症候群の特徴②:人からどう思われるかを気にする
- 人から嫌われていると感じやすい
- 自分の意見をおさえてしまうことが多い
- 人にどう思われているかが気になりすぎる
自分の意志よりも人からどう思われるかを気にしてしまう「他人軸」の傾向がある方は、人間関係上のストレスをためやすいのです。
そして、ふと自分を振り返ったときに、自身の本当の気持ちとのギャップに嫌気がさして関係を切ってしまうことがあります。
人間関係リセット症候群の特徴③:0か100かの極端な対処をしやすい
- 我慢できなくなると、投げやりな行動をとりがち
- 曖昧な状態が苦手で白黒つけたくなることが多い
- 嫌なことがあるとSNSのアカウントを削除してしまう
嫌なやり取りや気に入らないことがあると、「連絡先を消去して一切関わらない」「SNSのアカウントを消去して情報をシャットダウン」などの行動が挙げられます。ゼロイチの判断しかなく、リセット癖につながります。
人間関係リセット症候群の原因と傾向とは?
【原因】曖昧な関係、相手が自分に無理して合わせているのではないかと不安に耐えきれない
人間関係をリセットしてしまうのは、曖昧な状態に耐えるのが苦手なことが原因の一つと言えます。
相手が無理しているのでは?本当にうまく行っているのか心配…と不安に耐えきれなくなって、関係を切ってしまうのです。
【原因】曖昧な状況や不安に耐えきれず、ゼロイチ判断をしてしまいやすい
曖昧な状態に白黒つけず、「ゆるく」対処することが大切な場面もあるということをの認識も時には大事です。
【対処法1】嫌な感情に振り回されすぎない、無理に忘れようとしない
少しでも嫌だと感じる感情に触れる機会があると、「すべてが嫌」というような感情が湧き上がってきてしまうため、遠ざけてしまいます。
敢えて「ゆるく」繋がっておくと、曖昧な状態でもやり過ごせる、自分のすべきことに目を向けられる状態に
嫌いな人を無理に忘れる必要はありません。かといって、我慢して仲良くしなくてもよいでしょう。そして嫌な気持ちにも段階を振ることは大切です。人間関係として「ゆるく」つながっておくこと、そしてネガティブな感情にもゆとりをもって評価できることがベストです。
【対処法2】自分の気持ちと、自分軸で考えてみる
相手の気持ちを基準に、自分の行動を考える状態では、他人の視点を理由にネガティブな気持ちに巻き込まれやすいです。
自分の事を良く思われていないのではないか?自分に無理して合わせているのではないか?
特に、「迷惑をかけているのではないか?」「相手は良く思っていないのでは?」と思って嫌気が差しがちです。
「他人は他人、自分は自分」として、自分に軸があると、自分の納得に沿って付き合うことができるので、人間関係でのストレスを抱えにくくなるでしょう。
まずは、「自分の気持ち」「自分のペース」とは何か?、見失いそうになったり、悩んだ時こそ、少し振り返ってみることは大切です。
【対処法3】SNSを放置しておく
SNSは、簡単に人間関係をアカウントを消去することで切れるため、人間関係のリセットが起きやすいといえます。
リセットではなく、SNSに触れる時間を減らしてみる
また人間関係のストレスを重ねやすいSNSは、一度リセットすると癖になりやすいので、一旦放置しておく手段も有効です。
「通知をオフにする」「SNSを見ない時間を作る」など、SNSから一時的に離れるようにして、影響を受けないようにすることも大切です。
人間関係をリセットする前に別の方法がないか考えてみましょう
人間関係リセット症候群は、人を信用できないことや顔色を気にしてしまう傾向、更には嫌な気持ちをゼロイチ判断してしまうなど、さまざまなきっかけが原因で、ストレスを感じ関係を切ってしまうものです。
人間関係でこれ以上傷つかないために、「リセットする」「消去する」という手法をとって心の安定を守るための方法ともいえますが、関係を切ってしまうこと以外にも、対処方法や考え方のクセを見つめなおしてみるのはいかがでしょうか?
ただし、暴力やハラスメントといった被害が及んでいる場合など、本当に離れた方がよい人からは離れる勇気も必要です。
人間関係リセット症候群についてはこちらの『サンロード院』の記事でも紹介をしております
野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など