【パニック障害】心理&環境的負荷の影響について
パニック障害とは
パニック症に特徴的なパニック発作とは
パニック障害の特徴的な症状にパニック発作があります。
呼吸系やのど・息のしづらさ、動悸や心拍数の増加・胸部の違和感などの、数分前後で急峻に増悪するパニック発作は、死すら予感させるほど強烈で我を忘れて混乱してしまったり、その場にいられない逃げ出したくなるような程度であったり、周囲への配慮や集中が解かれてしまう程の症状でもあります。
パニック発作の誘発の有無について
特に、パニック障害ではこれらの発作が、予期せず・突然発症するという事が重要ですが、もし発作が誘発されるような状況がはっきりしているとき、つまりは高所や閉所・広場やヘビ・特定物や状況等による誘発がありましたら、それだけでパニック障害を完全に否定することはできませんが、不安症や広場恐怖症・限局性不安症などのその他のメンタル精神疾患の併存も考慮に入れて判断をする必要があります。
パニック発作の様子や状況・精神的な影響などは、複雑に関連
この様にパニック症やパニック発作は、身体面の症状だけではなく、精神的な症状や誘発の背景など、かなりバリエーション様々であります。
この記事では、パニック障害の発症の心理面について解説を行っています。
『心理面・環境面での負荷』が存在していることも多い
パニック障害は、診断の上では予期せず・突然という経緯でのパニック発作の存在が大切です。
しかし、パニック障害と診断された人々の多くは、それ以前から何らかの心理的負荷やストレスを抱えていることが多いのです。
つまりは、パニック発作の発症時前後には大きな発作の引き金となるきっかけはなかったかもしれません。ですが、パニック発作やパニック症の背景として、何らかの精神的な負担や負荷が影響していた可能性が十分に高いという事になります。
もちろん、パニック障害を診断された全員が、その心理的負担が明確になっているわけではなく、一部の方ははっきりしないし、特に経緯も見あたらないという方も珍しくはありません。
【パニック障害】発症前の心理的負荷にはどのようなものが多いのか
離別などの精神的ストレスは影響しやすい
文献的には、大切な人との死別や、喪失によるストレスが、パニック症やパニック発作の背景としてあるとされています。
また離別に限定せず、その他にも、特に怒りやイライラに対する耐性が低い傾向や、業務や責任の増大、苦痛やストレスが継続的に継続しているあるいは陥れられているという慢性的な感情などの様々なきかっけも、パニック症やパニック発作に関与しやすいです。
【パニック障害】受診時の具体的な背景の一例
◆会社など、部署や役割の変更に伴う業務量の負荷
◆人事の影響や人間関係の不調による、業務量やストレスの増加
◆昇進に伴うストレスとプレッシャーの増加
◆人間関係への調整に伴う、業務内容や労力の増加
◆上手くいかない、苦しくてどうしようもない状況の継続(家庭や人間関係・職場など)
◆懸念材料・重要案件に対して、不可抗力である、どうしようもないと思い知らされる状況の継続
など、のエピソードが背景にある方が、パニック症で受診される方には比較的に多い印象を受けます。
最初は弱い懸念であっても、次第に関心事・重大さが高まってストレスが蓄積しやすい
特にこれらの背景の傾向としては、今までは弱い不安として処理できていたものが、関係の不和や上手くいかないというストレス状況の為に、次第に本人の重大関心事・懸念事への閾値が下がって、さまざまな事に対する不安を抱え、どんどん大きく膨らんでしまっていることも大きな特徴です。
認知面の見直しが治療にも
パニック障害で、周囲のストレスや負荷が大きくなっただけではなく、ご自身の中での不安関心事への閾値が下がって不安が高まったことが重なっている場合には、パニック障害の治療面では薬物療法だけではなく、これらの背景や認知面にも焦点を当てた精神療法も有効となるのです。
もしパニック障害かもパニック発作かもと悩まれている方は、我慢しすぎず心療内科や精神科・メンタルクリニックなどの医療機関へご相談ください。
野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など