【買い物依存】メンタルの不調で「衝動的な買い物」行為に駆られることもあるのでご注意
買い物依存症かも・・・?実は意外と多い二次性のメンタルの不調
衝動的な買い物行動は、依存症だけではありません
買い物依存症とは、ICD-10では成人のパーソナリティー及び行動の障害に分類される「習慣及び衝動の障害」に分類されている疾患でもあります。
しかし、買い物依存症と考えられる、衝動的な買い物行為は、実は依存症だけに起きるのではないのです。
ここでは衝動的な買い物行動について解説を行っております。
衝動的な買い物行動には、実は2種類あります
買い物をしたくなる衝動というのはどのような時でしょうか?
・辛い気持ちを発散させるための買い物
・落ち込んだ気持ちに耐え切れずに、何か気晴らしや気分転換になればと思い繰り返してしまう買い物
・買い物をしないと何か悪いことが起きたり良くないことが起きるのではないかという不安からの買い物
・気持ちがよくなったり、ついつい気が大きくなってしまうと買い物を衝動的にしてしまう
・開放的な気持ちが出ると、気分の赴くままに勢いよく買い物をしてしまう
もし、上記のような意図から、衝動的な買い物行動を起こしてしまう方は、もしかしたら買い物依存ではなく、
抑うつ症状・うつ病、不安症、強迫性障害、双極性障害などに関連した気分の不調に起因して現れる、買い物衝動の可能性があります。
買い物依存症は、身の丈に合わない、社会的・職業的に悪影響があると分かっていても止められない衝動
・借金をしてでも、買い物の衝動が止められない
・クレジットカードの限度額いっぱいでも、それでも買い物の衝動が止められない
・買い物をした品物は、すぐには使えない、直近で使える事情のないものである
・自分の生活にそぐわない品物を買ってしまう
・買い物に対する、考えが頭を一杯に占めていて、拭い去ることが困難
もちろんこれらの衝動的な買い物の欲求というのは、複数重ね合わさることがあるので、気分の不調に関連した症状だけではなく、買い物依存症も合併して出現してしまっていることもあります。
つまりは、買い物依存症だけではなく、気分障害の併発も実は稀ではないので注意が必要です。
衝動的な買い物が、生活面に与えるストレス・自己への否定感・自信の喪失というのは、実は大きい
治療には、気分の不調も十分に配慮した治療法が大切
衝動的な買い物は、一時的に安心感や爽快感、不安感の軽減を得ることができますが、大きな買い物になればなるほど家計を圧迫したり資金繰りに窮して社会的に支障を来してしまうなどの、生活ストレスが非常に大きくなってしまいます。
また、止められない自分、やめられない自分、更には起きてしまった事実に対する、後悔や嫌悪感・罪悪感が残りやすいために、自身の罪責感や自己否定が非常に強くなってしまう傾向にもあります。
そのために、うつ病や不安症、双極性障害などの気分障害を併存したりより悪化させやすいために、治療に関しては、原疾患の治療だけではなくメンタル面にも配慮した治療の組み立てが一層重要になります。
薬物療法などの併用が重要になることも
衝動的な買い物行動に対しては、外来での通院にてお一人お一人の考え方や特性に応じて、行動療法、認知行動療法などの組み立てをすることも多いのですが、抑うつ症状や不安感などの心の不調が強い場合には、適宜抗うつ薬や抗不安薬などのお薬治療を併用することは有効です。
知らないうちに、買い物をすることで自分が変われる、気分がいい自分がいる、買い物をすると周囲の目が変わるといった、自己の価値観への変化を生んでいることもありますので、そのためお薬だけでなく、認知面の修正を目的とした治療も大切であることもあります。
野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など