月経前のイライラ!どうやったら落ち着くの?
月経前1週間ぐらいになるとイライラしたり、眠くなったりして困る女性が多いではないでしょうか?実はこの心身の不調は、月経前症候群・PMSと呼ばれるものです。月経前症候群・PMSの治療法には、薬物療法と非薬物療法があります。非薬物療法の中には自分でできる簡単なものもあります。
この記事では月経前症候群のセルフケアをご紹介します。
ほとんどの女性が月経前に不調を感じる
「月経前のイライラぐらい大したことない」と思っている人はいませんか?そう思っている人は、もしかしたら少ないのかもしれません。じつは公益社団法人日本産科婦人科学会によると、実に日本人女性の70~80%は月経前に心身の不調を感じるからです。特に、5.4%の女性は生活するのが大変なほど強い不調を感じると言われています。
月経前症候群・PMSの原因は女性ホルモンの変動なので、変動を止めるために低用量ピルを飲むなどすれば症状は軽くなります。とはいえ低用量ピルも薬のため、吐き気や頭痛、胸の張りなどの副作用があります。また、「病院に行くほどの症状ではないし、仕事で忙しいし・・・・」と病院になかなか足が運ばない方もいるでしょう。そういった人には、セルフケアをおすすめします。
月経前症候群の4つのセルフケア
月経前症候群・PMSのセルフケアとして、以下の4つがあります。
①マンスリービクス
「マンスリー」と聞くと月極賃貸などをイメージしやすいかもしれませんが、マンスリービクスとは月経痛を軽くするために骨盤を動かす体操のことです。マンスリービクスを行うことで骨盤内の充血をなくし、筋肉を緩めることができます。また、体を動かすことでリラックスする効果もあると考えられています。
マンスリービクスには立った姿勢やいすを使う姿勢、四つん這いの姿勢、仰向けの姿勢で行うものがあります。
ここでは、一番くつろげる仰向けの姿勢で行う方法をお話しします。まず、仰向けになって、体育座りをするように足を立てましょう。左足を抱えて、胸元まで引きます。次に右足を抱えて、胸元まで引きます。そして、両足を抱えて、胸元まで引きます。スピーディーに行うのではなく、ゆったり気持ちよい感じで行ってください。
2013年に土井らは、月経周辺期症状(月経前症候群だけではなく月経中の不快な症状も含んだ心身の不調)にどの非薬物療法が有効だったか調べました。その研究によると、マンスリービクスは改善効果があると科学的に認められたケアでした。そのため、イライラ改善の効果が期待できます。
②症状日記
症状日記とは、何日にどんな症状が出てきたかを記録するものです。2か月ぐらい毎日チェックし続けると、自分にどんな症状が出やすいかや、月経前のいつぐらいからしんどくなるかなどのパターンが分かってきます。自分のパターンが分かれば、しんどくなりそうな日の周辺には予定をあまり入れないようにしたり、意識的にリラックスする時間を作るなどの対策を取ることができます。また、いつぐらいに症状が出るということを心づもりしておくだけでも、症状が軽くなること言われています。
③食事
当たり前のことですが、過度なダイエットや過食、偏食などの歪んだ食生活はNGです。
月経前になると、無性に甘いものが食べたくなる人やおなかがすく人も多いと思います。とはいえ、ちょっとつまめるからといってお菓子を食べてしまうと、血糖値が急激に上がってしまいます。同じ甘い食べ物でも、さつまいものほうがお菓子よりも血糖値がゆっくり上がるなど、まずは体に負担をかけすぎないような食事の配慮が大切です。
イライラで悩んでいる場合は、カフェインの入っているコーヒーや栄養ドリンクは止めておいたほうがよいです。それというのも、神経を刺激するためです。イライラにはカルシウムと昔から言いますが、カルシウム以外にもマグネシウムやビタミンB6が含まれている食べ物も効果があります。食べ物としては、ナッツ類や海藻類、かつお、レバーなどがあげられます。特にナッツ類は噛み応えがあるので、空腹感を和らげるのにもよいですね。
④規則正しい生活
多くの病気と同じで、月経前症候群(PMS)もストレスがあると症状が強くなります。そのため、ストレスをためない生活が大事です。先にあげた食生活以外にも、早寝早起きや運動を心がけましょう。
また心がイライラしていると、無意識のうちに体に力が入ってしまい、それが原因で肩こりや腰痛なども引き起こされます。ちょっとしたストレッチなどもリラックスに繋がるのでおすすめです。
まとめ
このように月経前症候群のセルフケアにはマンスリービクスや症状日記、食事、規則正しい生活などがあります。とはいえ、月経前症候群のつらさは人によって違います。症状が重い場合はセルフケアでは限界があります。重い症状で悩んでいる人や、セルフケアをしても症状が改善しないことで悩んでいる場合は、心療内科や産婦人科などに受診してまずは相談することをおすすめいたします。
文献
土井理美・横光健吾・坂野雄二 (2013). 日本人女性における月経周辺期症状に対する非薬物療法に関する展望 女性心身医学, 18, 264-271.
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など