【うつ病の合併症について】不眠症・不安症・パーソナリティ障害・妊娠・心疾患など
うつ病には合併症などがあります
うつ病の特徴的な症状は抑うつ症状や無気力、意欲の減退などがありますが、特に不眠症や不安症といった身体・精神疾患も合併しやすいです。
不眠症とうつ病の合併は実は非常に多い
不眠症とうつ病の関係は深く、不眠症が大うつ病患者の84.7%に見られると報告されています。また、不眠症には、入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒、熟眠不良などの症状がありますが、うつ病に合併する不眠症では、1位:中途覚醒、2位:入眠困難、3位:早朝覚醒の症状の関連が高いと言われています。
また、特に入眠困難の症状はうつ病の発症とも関連がある事や、また不眠がうつ病のリスクファクターであると報告があります。
それ以外にも、うつ病の治療効果において、不眠に対する治療の有効性や、再発の指標としても有効である報告がなされており、もはや不眠症とうつ病の関連性は非常に大きいのです。
不安症もうつ病の合併が多い
不眠症以外にも、不安症もうつ病との合併率は高く、約57%の人がパニック障害や全般性不安障害、社交不安障害などの不安症、更にはPTSDや強迫症とうつ病を合併していると報告があります。
またこのような合併を呈している方たちは、うつ病に特徴的な、抑うつ症状や無気力といった症状よりも、不安症状が先行して出現することも多いのが特徴です。
特に不安症状は、病気であると認識されるまでに時間がかかることも多く、「心配性」「考えすぎているだけ」といった誤った認識で我慢されてしまっていることも多いのです。
また、うつ病と不安症を合併している方は、治療効果に時間がかかりやすい傾向や、自殺などの懸念も高くなりますので、注意が必要な病状と言えると思います。
その他にパーソナリティー障害、心疾患、妊娠等、うつ病の合併は多いです
妊娠に関連したうつ病は、産婦の約10%に起きやすいという事や、うつ病の約15%にパーソナリティー障害が関連しているという報告や、心筋梗塞に合併するうつ病は約15%であるなど、私たちが考えている以上にうつ病は単体での病状ではなく、ライフイベントや、身体疾患、さらにはその他の精神疾患に関連して発症しやすい疾患とであると考えられます。
他疾患の合併のあるうつ病は、それぞれ治療法が異なることもある
特に不眠症等、身体疾患の積極的な治療の必要性や、合併精神疾患へのアプローチ、更には妊娠に関連したうつ病は、病状や背景、更には周囲の環境やサポートに応じた判断がとても大切ですので、ご自身で自己判断なさらず心療内科や精神科・メンタルクリニックなどの医療機関までご受診をおすすめいたします
野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など