クリニックブログ

2020.06.012024.03.30

パニック障害の人に見てほしい!避けた方がいい物一覧と睡眠には要注意!

パニック障害の原因は脳の一部が働き過ぎていたり、あるいはきちんと機能していないことだと言われています。しかしパニック障害の実験から、パニック発作を起こしやすい物質や状態などが分かってきました。そういった物に気を付けることも、パニック障害の治療では大事です。

この記事では、パニック障害の人が避けたほうがよい物や気を付けたほうがよいことをお話しします。

パニック障害の人が避けたほうがよいもの

これまでのパニック障害についての実験から、以下のものがパニック発作を引き起こしやすいことが分かりました。当たり前に思われるものだけではなく、意外なものまであります。

心療内科ひだまりこころクリニック栄院がパニック障害について解説

【パニック障害で避けた方がよいもの①】喚起の悪い部屋や炭酸ジュース・炭酸飲料

空気中に含まれている二酸化炭素ぐらいなら問題ないのですが、満員電車みたいに二酸化炭素が多いところはパニック発作を起こす恐れがあります。もちろん、逃げ出せない環境・閉鎖空間という場所がより不安と緊張を高め、パニック障害を引き起こしやすいという点もあるだけではなく、諸説ありますが酸素や二酸化炭素の濃度の影響も大きいと考えられています。

特に、満員電車で二酸化炭素が多いということは、つまり酸素が少ないということです。「酸素が少ないと窒息するから危ない!」という人間が動物だったころの本能が働き、全身に酸素を届けようとして過呼吸や動悸がするのです。

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【理由】換気の悪い部屋や、炭酸飲料がパニック障害を誘発すると考えられる理由について

パニック障害の人はそうではない人よりも特に二酸化炭素に敏感に反応しやすいです。そのため、満員電車でもパニック発作を起こす人と起こさない人の違いが出ます。

二酸化炭素は喚起の悪い部屋だけに多くあるものではありません。炭酸ジュースや炭酸水の炭酸は二酸化炭素です。そのため、炭酸ジュースを飲み過ぎるとパニック発作を引き起こす可能性があるとも考えられているのです。

なお、夜にパニック発作を引き起こしやすい人もいると思います。それは、夜は一日のうちで呼吸数が最も少ないため、酸素不足になりやすいことが影響していると考えられていたり、夜になって一人で過ごす孤独やいろいろと今後の事を考えやすく不安や緊張が高まりやすいとも考えられています。もちろん酸素不足といっても、酸素不足は非常に微々たるものです。それでもパニック障害の人は非常に酸素不足に敏感に反応してしまうためパニック発作が起こるのです。

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【パニック障害で避けた方がよいもの②】乳酸(疲れ)

疲れを避けたほうがよいというのは何となく皆さんも思われていることだと思いますが、実は科学的根拠があります。乳酸とはブドウ糖が体内で分解されてできたものです。激しい運動をした後に体にたまることから乳酸は疲労物質と呼ばれることもあります。この乳酸を体内に注射するとパニック発作が引き起こされることが分かっています。

なお、ヨーグルトやぬか漬け、キムチなどの乳酸菌と乳酸は別物です。そのため、これらの食べ物は避けなくて問題ありません。

また、パニック障害の人たちは、この乳酸が溜まりやすいと言われており、パニック障害のために疲れやだるさ、肩や全身のコリが起きやすいと言われています。急激な激しい運動では、乳酸が更に溜まりやすくなってしまうので、適度な軽い運動である有酸素運動をすることで好気性解糖が働いて、乳酸が溜まりにくくなりますので、お勧めです。

【パニック障害で避けた方がよいもの③】カフェイン類

カフェインも何となく避けたほうがよいと思っている人が多いと思いますが、実は脳科学的にも証明されていることです。カフェインはアデノシンという神経伝達物質の働きをストップさせることでパニック発作を引き起こすからです。普段お茶やコーヒーを水分摂取でよく飲むというパニック障害の方は、ノンカフェインの麦茶にすることをおすすめします。

【パニック障害で避けた方がよいもの④】アルコール

アルコールもパニック発作を引き起こす恐れがあると言われています。ただし、それとは別にアルコールも薬の一種なので、治療薬の効果に作用してしまうという問題があります。治療薬の効果を十全に発揮させるためにもアルコールは避けましょう。どうしても飲みたい場合は、ノンアルコールビールやノンアルコールカクテルに変更するなどの工夫が大切です。

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パニック障害の人は睡眠に特に気を付けたほうがよい

パニック発作を引き起こすものに疲労があるように、睡眠は大切なものです。2014年と少し古いデータではありますが、あるクリニックに通っているパニック障害の患者さんが実際にどの程度睡眠を大切にしているかを調べた研究があります。研究の結果、調査対象者のパニック障害の患者さんについて、以下のことが分かりました。

・24時よりも前に就寝している人は平日では39.0%、休日では30.6%しかいなかった

・睡眠時間が6~8時間の人は59.2%だった

・平均睡眠時間が6時間未満の人は19.4%とあまり多くはないけれども、そういった人は不安や抑うつが高い場合が多かった

・うつ病が合併していないパニック障害の患者さんでは、消灯後にテレビやパソコンを使っている場合、不安や抑うつが高い人が多かった。

・パニック障害の患者さんの4割が、消灯後もテレビやパソコンを使っていた

パニック障害で悩んでいる人は質の良い睡眠を心がけよう

少し昔の研究ですが、パニック障害の患者さんが質の良い睡眠を取っていないことを示すデータと解釈することもできます。因果関係を特定することはできませんが、消灯後にテレビやパソコンを使っていたほうが不安・抑うつが高い人が多かったことからも、しっかり質の高い睡眠を取ることは非常に重要と考えられます。

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まとめ

①喚起の悪い部屋や炭酸ジュース、②疲れ(乳酸)、③カフェイン類、④アルコールはパニック発作を引き起こす恐れがあります。

一旦パニック障害が治ったとしても、こういったもので再びパニック発作が起きてしまったという話もあります。少し窮屈かもしれませんが、気を付けるようにすると、パニック障害を悪化させず、安心して生活することができるのではないでしょうか。

ひだまりこころクリニック金山院はお薬に頼りすぎないパニック障害の治療も目指しておりますのでお気軽にご相談くださいませ。

参考文献:小松 (2014).  パニック障害における睡眠習慣と精神的健康度の関連について 不安症研究, 6, 17-24.

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野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など