全般性不安障害(不安神経症)、心配性とはちょっと違うなと思ったら。
全般性不安障害(不安神経症)でお困りではありませんか?
不安神経症とは、現在では全般性不安障害として捉えられることが多く、不安神経症と分類の歴史上は、パニック障害や社交不安障害や強迫性障害、全般性不安障害などの意味を含んで分類をなされていた時代もありました。
漫然とした不安の症状のために、苦痛であり日常生活への支障を来している状態を指していることが特徴です。このような概念を現在の分類では、全般性不安障害を指していることが非常に多いのです。
全般性不安障害(不安神経症)はどのような疾患なのでしょうか??
不安神経症は、場面に不釣り合いな不安の感情や精神状態と、身体症状が出てきてしまうのが特徴的です。
全般性不安障害(不安神経症)では心配や不安を抑制することが難しい
「飛んでいる飛行機が落ちてきたらどうしよう。」といった懸念や不安も、実は現実に起きうる不安な事象ではありますが、多くの場合には非常に確率が低かったり、その事象をよっぽど示唆するような状況ではない限り、「心配しても仕方がない。」「確率が非常に低いのだから心配するのはやめよう」と自身で、不安感情をコントロールしていることが多いのです。
ですが、全般性不安障害の方たちは、「飛んでいる飛行機が落ちてきてしまうかもしれない不安が非常に強く苦痛であるために、不安で怖くて外出ができなくなったり、飛行機の音を聞いては身体が震えたり」と、不安拭い去れず、大きく長く継続して“不安”という感情に振り回されてしまっているのです。
DSM-5では、そのような不安感情の広がりを、「心配を抑制することが難しいと感じている状態」と特徴の表現をしております。
全般性不安障害(不安神経症)では、不安な状態が継続する日の方が長い
全般性不安障害では、心配事は一つにとどまらず、「家が倒れてしまったらどうしよう(直近の地震もなければ倒壊の兆候もなくても)」、「家のお金が急に無くなったらどうしよう(銀行の破産や、泥棒を心配してしまう)」、「病気が見つかって、急に死んでしまったらどうしよう(最近の検診でもそのような兆候はない)」などと言った生活への不安の概念が次々と出現してしまうのです。
DSM-5では、多数の出来事にまたは活動についての不安と心配が、不釣り合いな程過剰に生じてしまい、その不安の感情が起きない日よりも、不安を感じる日の方が多いという状態が継続している状態が、全般性不安障害に特徴的であると指摘されております。
身体症状や精神症状の不調も来してしまっていることが特徴です
全般性不安障害では、緊張感や神経のたかぶり、落ち着きのなさ倦怠感や、集中力の低下や心が空っぽに感じること、イライラ感や易怒性、筋肉の緊張、不眠などの症状が伴っていることがDSM-5でも多いと記載されております(もちろんすべての症状を満たす必要はありません)。
全般性不安障害(不安神経症)では不安や身体の不調が社会的・日常的な生活へ影響を及ぼしてしまっている
不安や心配症状、更には身体的症状のために、外出や食事ができなくなったり、出社や会社での活動に支障が出てきてしまっている状態を起こしてしまっていることが特徴的です。
全般性不安障害(不安神経症)の原因と治療について
原因としては、遺伝性や環境等の指摘もされておりますが、元々「神経質」「完璧主義」などの性格などの影響も関係していると言われております。またストレスや疲労などがきっかけとなることも多く、全般性不安障害(不安神経症)にかかってしまうと、ストレスホルモンの不調や分泌不良のために脳の機能不全などを起こしたり、不釣り合いな程の不安症状がさらに起きてしまうとも考えられています。
特に、このような脳の神経伝達物質やホルモンの不調を整える目的として、治療薬として抗うつ薬やSSRIなどの内服治療が症状の改善や治療に有効であると考えられております。
全般性不安障害(不安神経症)でお困りの方はいらっしゃいませんか?
神経質や考えすぎだよ。と周囲から声をかけてもらう一方で、なんだか自分の中では「ちょっと普段の不安とかじゃないな」といった違和感をお持ちの方は、もしかしたら全般性不安障害(不安神経症)などの症状を併発しているかもしれません。
知らないうちに進行して病状を悪化させ、生活や社会活動に悪影響してしまうのが特徴的な全般性不安障害(不安神経症)ですので、お一人で悩みすぎたり我慢しすぎてしまわない前にお気軽に心療内科やメンタルクリニック、精神科などの医療機関迄ご相談くださいませ。
野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など