ためこみ症の頻度について
ためこみ症の頻度について
ためこみ症とは、物を捨てることや手放すことが非常に困難で、時には収集をしたりすることなどにより、家の中や生活圏に支障を来してしまう疾患です。
米国と欧州で行われた地域調査では、ためこみ症の頻度は約2~6%であると言われており、じつは珍しい病気とは言えないのではないでしょうか?
良くニュースで取り上げられるようなごみ屋敷の取材などや、地域住民や自治体との葛藤状態が取り挙げられるようになり、さらに「ためこみ症」という精神疾患に関する注目がなされていることも確かだと思います。
ためこみ症の詳しい症状や診断基準についてはこちらを参照ください。
ためこみ症の男女差は?
ためこみ症は、ある疫学調査によれば、男性の方が女性よりも頻度が高いとされています。しかし一方で、女性の方がより過剰な収集や過剰な買い物を特徴としたためこみ症が認められやすいといった報告もあります。
ためこみ症の年齢とは?
ためこみ症の年齢は、実は若年発症が多いと言われており、10代から症状が現れ始め、徐々に生活環境を変化させ、生活機能を圧迫していきます。また、症状の経過が比較的ゆっくりであるために、症状の悪化が10年ごとと言われるほどのゆっくりと進行するので、50代ごろになって家族や周囲の人たちの相談から受診する人たちも少なくありません
ためこみ症になりやすい性格は?
しばしば、優柔不断さなどの性格が指摘されていることもあります
ためこみ症の併発・併存症は?
ためこみ症は、約75%の人たちが、うつ病や双極性障害などの気分障害または不安症を併存している。また、うつ病や社交不安症、全般性不安症、強迫症などの合併を認める
ためこみ症に対する自覚症がない方も実は多いために、抑うつ症状や不安症・強迫性症状をきっかけに医療機関へ受診される方も多いのが特徴です。
ためこみ症かもと思った時の注意点
ためこみ症は現在注目されつつある疾患ですが、ためこみ症状を有するのは、ためこみ症だけではありません。
脳炎や脳腫瘍などの器質的疾患の影響を受けていることもあるために、経過や症状を鑑みて場合によってはこれらの疾患を除外するために頭部のMRIなどを実施する必要もあるのです。
野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など