人間関係リセット症候群とメンタル疾患
【メンタル疾患との関連にも】注意が必要な人間関係リセット症候群のタイプ
人間関係リセット症候群について
人からの評価を気にしたり、自分の意見を嫌な事に対するゼロイチ判断をしてしまうあまりに、人間関係でのストレスをためやすく、極端な対処をとりがちなのが人間関係リセット症候群の特徴です。
メンタルの疾患の影響により、「人間関係リセット症候群」が引き起こされていることも
しかし、「人間関係リセット症候群」には、精神疾患の特性や精神面のアンバランスさによって生じているケースもあるのです。
以下にも紹介をしていますが、精神科・心療内科の受診やカウンセリングなどの専門的治療が必要なケースもあるので注意は必要です
【うつ病と人間関係リセット症候群】落ち込みから関係をリセットしてしまう
うつ病とは、気分の落ち込みを主症状とする精神疾患でもあります。
うつ病で罪悪感が強くなり、周囲との人間関係が負担に
気分が落ち込むと、「迷惑をかけている」「自分はいない方がいいのでは」と過度な罪悪感を抱くことがあります。そ
また、落ち込みが強く、人間関係そのものが負担になってしまいます。そのため、うつ病の症状としての罪悪感から関係をリセットしてしまうことがあり得ます。
うつ病の他の症状にも注意が必要です
罪悪感や落ち込み、そして精神的なストレスの負担から人間関係をリセットしてしまうことに加えて、以下のような症状がみられる場合は、うつ病の可能性があります。
◆興味がなくなる、喜べなくなったなどの気分の落ち込みが2週間以上続いている
◆体重が減った/増えた
◆食欲がなくなった/増えた
◆そわそわして落ち着かない
◆考えがまとまらず、集中が続かない
◆やる気がわかず、疲れやすい
◆自分に価値がない感覚や罪悪感が強い
◆死について繰り返し考えてしまう
抑うつエピソードのある双極性障害も関連性が
またうつ病と同様に、双極性障害の抑うつエピソードでも同様に「人間関係リセット症候群」との関連もあります。
不安障害でも不安への耐性が低下
不安障害においても、人間関係リセット症候群に陥ってしまうことがあります
日常生活に関連する不安が高まって、人間関係によって生じる不安事にも敏感になってしまい、関係を断ってしまうことが「不安障害」にも関連して生じてしまうのです。
【発達障害と人間関係リセット症候群】人の言動を極端に受け取ってしまう
『親しい間柄ゆえの、冗談やたとえ話』が、意図しない解釈になってしまうことも
ASD(※)やADHD(※)などの発達障害の特性がある場合には、人間関係のストレスを抱えやすいこともあり、極端な対処を取ってしまうことがあります。
ASDとADHDの方の悩みの傾向について
ASDの特性として、言葉通りに物事を受け取りやすいという傾向があります。
そのため、人の言動をそのまま極端に解釈してしまったり、ストレスに感じることも多くなるでしょう。また、ADHDの特性が強いと、衝動的に関係を切ってしまうことにもつながりやすいです。
そのままの解釈や、極端な見方により人間関係にてストレスをためやすく、お互いの認識の齟齬と、一時的な感情で関係をリセットしてしまいやすい状況が起きやすくなってしまうことがあります。
【境界性パーソナリティ障害と人間関係リセット症候群】見捨てられるのが怖く、相手を翻弄させてしまう
見捨てられてしまう不安のため、むしろ自分から離れようと関係を切ってしまうことも
境界性パーソナリティ障害とは、気分の不安定さや、人との繋がりの上でも、極端な判断をしてしまう傾向などが特徴のパーソナリティー障害の1つです。物事、特に人間関係の捉え方に偏りがあり、感情や衝動をうまくコントロールできないために、安定した人間関係をうまく築けません。
見捨てられ不安にも
境界性パーソナリティー障害の背景には、「見捨てられ不安」という人に見放されることへの強い不安があることがあります。仲良くなっても、関係が良好であっても、「この人は自分を見捨てるのではないか」という不安を継続的に感じてしまうのです。また、「見捨てない」「ずっと寄り添ってくれる」という、不安を継続的に抱えてしまい、相手を試してしまうこともあります。
自分から急に離れてみたりする衝動も出てしまう
そして境界性パーソナリティー障害では、何かトラブルが生じると、「見捨てられる前に自分から離れよう」と関係を切ってしまうこともあります。自分から離れれば、見捨てられ不安を感じなくて済むからです。あるいは、相手を試す行動としてとっていることもあります。
見捨てられ不安を感じないように自分を守ろうとして、人間関係をリセットしてしまうことが「パーソナリティー障害」の特徴といえます。
さいごに
心療内科,精神科,メンタルクリニック,ひだまりこころクリニック栄院が、人間関係リセット症候群とメンタル疾患について解説をいたしました。うつ病や発達障害、境界性パーソナリティー障害さらには、不安症・双極性障害についてとの関連を紹介しました。
人間関係リセット症候群についてはこちらの『サンロード院』の記事でも紹介をしております
野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など