【パニック症】男性と女性ではどちらが多いの?
パニック症は男性・女性のどちらに多いのか?
パニック症とは
パニック症は、パニック発作を特徴的な症状の存在と、日常生活や社会生活において行動や支障を来してしまっている疾患です。
パニック発作の症状の特徴とは
パニック症の特徴であるパニック発作は心臓や呼吸・消化器、神経、精神面に多岐にわたり症状が繰り返して出現しやすいため、症状にはとても個人差と多様性の大きな疾患であると言えると思います。
パニック症の有病率について
パニック症の有病率は、いくつか報告がありますが、約1%から数%程度であとると言われています。
パニック症の年齢について
また、パニック症の発症の年齢は、青年期から増え始め、青年期そして成人期へ増加の傾向が高まると言われています。そして、高齢者では緩やかに患者さんが減少する傾向の報告があります。
特にパニック症の発症の年齢については、平均20代~30代前後あたりであると報告もあり、若年者に発症しやすいというのはパニック症の特徴であるとも言えます。
パニック症は女性に比較的多い
また、パニック症の男女比には、特徴的な差があると言われています。
男性よりも女性の方がかかりやすいと言われており、具体的には男女比は1:2で、女性の方がよりかかりやすいと報告があります。
また、再発率も女性には比較的高く、そして症状も不安定になりやすいという特徴があります。
遺伝学的にも女性特有のパニック症関連も指摘あり
原因遺伝子として、MAOA遺伝子の一部の表現型においては、パニック症と女性の発症とも関連があると指摘されています。
【パニック症】若年層に多く、性別にも差があるということは
しかし、先にも述べましたように、パニック症の有病率は決して低いわけではないので男性だからといって、「かかりにくい」「かからない」という訳ではないことにはご留意ください。
ただ、男女差・年齢差、そして特徴的な症状にも個人差が大きいことは、お互いの理解や解釈にも差が出やすいということでもあるということです。
症状の多様性もあり、遠慮や配慮・ためらいにも繋がりやすい
身体や精神面へ、さまざまな辛い症状を呈するため、上手く表現できず伝えられない、体調が悪い状況をそもそも伝えることをためらってしまう方もいるため、症状があっても我慢しすぎてしまったり、周囲に気づかれないように振舞ってしまうこと、夫婦や家族などパートナーのお互いの理解や症状への解釈にも多少の違いが出やすいということは、パニック症では重要な視点かもしれません。
最後に
今回は、パニック症の有病率や男女のかかりやすさについて記載をいたしました。
大切なことは、女性だから、男性だからということはありませんが、有病率が決して低いわけではないこと、そして年齢も比較的若年者に多いということ。それらのことが、パニック症の症状や辛い悩みを、周囲に打ち明けにくい・相談しづらい・周囲に気が付かれないように振舞いたいという配慮や遠慮の気持ちが相互に働きやすい特徴の疾患としてパニック症を捉えても良いのではないかと思います。
野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など