【抜毛症】分かっていてもやめられない疾患の特徴とは
抜毛症は思春期に起きやすい
抜毛症(Trichotillomania)は実は、思春期に発症する方が多いとされており、抜毛の結果として恥ずかしく感じたり、困惑したり、人から見られることを避けて学校や職場などに通えなくなってしまうなどの社会的影響を及ぼしてしまうのです。
抜毛症の診断基準とは
抜毛症はDSM-5では強迫症及び関連症群の一つとして独立した疾患概念で捉えられております
診断基準を以下に要約して記載をしました
抜毛症の診断基準A:繰り返し対応を抜き、その結果体毛を喪失する
抜毛症の特徴は、繰り返し自分の体毛を抜き、その結果として体の一部(複数でも可)に体毛が喪失していることが重要です。
抜毛の場所は、顔や頭周りが比較的多く、頭皮やまつげ・眉毛などが特徴的です。
そのために、一部の方たちは、帽子やかつらなどで多い隠す方もみえます。
抜毛症の診断基準B:体毛を抜くことを減らす、またはやめようと繰り返し試みる
抜毛症の方は、体毛を抜くことをやめようと試みたり減らそうとします。しかし抜毛への衝動が強く、実際の抜毛行為の抑制は困難なことが多いのです。
抜毛症の診断基準C:体毛を抜くことで、臨床的に意味のある苦痛、または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている
抜毛の結果、恥ずかしさや、困惑・当惑の影響、更には自分をコントロールできなかったことに対する否定的感情も含まれるために、他者の目や、公共の場や学校・仕事場へ行く事を回避してしまう事もあります。
抜毛症の診断基準D:体毛を抜くこと、または脱毛は、他の医学的疾患に起因するものではない
皮膚のかゆみやかさつきなど、皮膚疾患等による影響での脱毛等ではない事が抜毛症の診断基準にも盛り込まれています。
抜毛症の診断基準E:体毛を抜くことは他の精神疾患の症状によって上手く説明されない
醜形妄想や醜形恐怖症などの影響や、外見上の認知面の変化などの影響などを呈する精神疾患などの影響で抜毛が起きていないことが重要です。
抜毛症の症状の特徴とは
抜毛が起きやすい時間帯は、短時間で無意識に起きやすく、決まった時間でない方もみえますし、長期的に何時間も継続してしまう方もみえます。
また抜毛行為が、無意識な状況下で行われる方だけではなく、抜毛に関する緊張感や快楽、満足感などの感覚が影響して繰り返してしまう事もあり、無意識とは正反対の、非常に集中された意識下で抜毛が行われることもあるのです。
また、家族以外の他人の前では抜毛行為が起きないことも多く、自分の体毛以外に人形などの物質に対して抜毛をすることもあります。時に爪噛みや唇をかむ、皮膚をひっかくなどの症状を併発している方もいらっしゃいます。
また自身の体毛に対する、抜毛行為を他者から指摘されても頑なに否定される方も少なくないのも抜毛症の特徴です
野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など