【うつ病の原因とは】自分でもストレスの原因が思いつかないこともあります
うつ病の内因性、外因性、心因性とは
うつ病などを含めた精神疾患の原因には、主に、外因性、内因性、心因性などの影響があると考えられています。
特に、外因性は、身体疾患や脳の感染症・外傷などの脳を含めた身体に受けた影響から精神疾患が生じることを指します。
また内因性は、その人の生まれ持った性格や遺伝的な背景が影響して精神疾患が生じることを指します。
そして、心因性はストレスや周囲の環境など心理的要因がきっかけで精神疾患に影響を及ぼします。
”内因性うつ病”のきっかけ「メランコリー親和型性格」とは
内因性うつ病のきっかけとも言える、「メランコリー親和型性格」は、他者との争いを嫌い、自己の主張よりも他者の立場に配慮したり、集団での自分の立ち位置に敏感で、完璧主義でしっかり者というような印象を持っている方です。
特に日本では、「メランコリー親和型性格」が注目されており、比較的日本人にとってはなじみのある傾向なのかもしれません。
このような性格の方たちは、調和のとれた環境や、自分の立ち位置が安定した環境では、”しっかりと仕事をこなすことができる”、”完了率も高く”、”気の配りもできる”といった周囲からの評価も高い傾向にあります。
「メランコリー親和型性格」がどうしてうつ病のきっかけとなるのか
もちろん、そのような姿勢は、勤勉で真面目といった、社会からも重宝される存在でもあります。
しかし、ひとたび、昇進や移動など、人間関係や仕事の調和が新しく変わった環境に置かれると、どこまでも頑張ったり尽くしてしまったり、周りが見えてしまうがために、自分がやらなくてはいけない事が沢山思い浮かんだり、仕事の範疇が分からなくなってどこまでも仕事のためを考えて取り組んでしまう傾向があります。
周囲からは「頑張り屋さん」といった表現を受けることもあるのですが、そのような評価も余計にプレッシャーに感じたり、「もっと手を抜いたら?」と声をかけてもらっても、どこまで手を抜いて良いのか分からず結局やることが多くて押しつぶされてしまうという状況を呈して、許容範囲を超える負荷がかかり続けて、抑うつ症状やうつ病といった症状を呈してしまう事があるのです。
「メランコリー親和型性格」が関連したうつ病は、ストレスのきっかけがはっきりしないことも多い
このような、「メランコリー親和型性格」に関連したうつ病は、心理的要因がそこまで大きくなかったり、むしろ仕事の人間関係は悪くなかったとしても、「うつ病」を呈してしまうのです。
また、ご自身も”ストレスを感じる”というよりも、”自分の無力さ”や”自分への自信の低下”が中心的な症状や悩みで、ある時から仕事中に辛い症状が出たり、朝出勤できなくなってしまったり、仕事の早退せざるを得ない体調などの状況を呈して外来に相談される方が多い気がします。
メランコリー親和型性格が関連したうつ病の治療とは
うつ病の治療については薬物治療などがあります。また通院や診察を通して、ご自身の傾向や内面の特性を知りつつ、周囲への配慮や周囲からの期待が理解できる良い点も認めつつ、現実的に自分のできる量や役割、さらには相手からの依頼に対する対応や自分の想いなどを少しづつ紐解いていく事も大切です。
野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など