物忘れが増えた..と
心配ではありませんか?
「認知症」について。認知症には大きく分けて4つあります。
①アルツハイマー型認知症②前頭側頭型認知症③レビー小体型認知症④脳血管性認知症
①物忘れ症状が中心である、アルツハイマー型認知症。
②言葉が理解しづらくなったり理性が失われやすい前頭側頭型認知症。
③幻視や睡眠障害が起きるレビー小体型認知症。
④階段状に認知機能が低下する脳血管性認知症があります。
ここでは、代表的な認知症疾患として、アルツハイマー型認知症と脳血管性認知症についてご説明いたします。
アルツハイマー型認知症とは
アルツハイマー型認知症は,⾎管性認知症と並ぶ代表的な認知症疾患です。認知症の約4割の方が、アルツハイマー型認知症といわれております。
アルツハイマー型認知症では記憶障害や見当識(日付や時間・場所などを認識する力)の障害、判断力の低下などの症状が現れます。アルツハイマー型認知症の症状の特徴は,緩徐に慢性進⾏性の経過を辿り,末期には後期の知能低下と,⼈格の崩壊へと向かうことがあります。
アルツハイマー型認知症はどうして起こるの?
神経⼼理学的には,変性疾患に属する原因不明の認知症であり,脳の全般的な萎縮が⾒られ,神経原線維変化,アミロイド沈着を特徴とする⽼⼈斑,神経細胞の脱落が主体です。
また,⽣物学的には,アセチルコリンやその他の神経伝達物質の⽋乏が指摘されています。
加齢に伴う変化であるといわれていますが、まだはっきりとは分かっていません。
アルツハイマー型認知症は脳の変性疾患です。高齢者だけではなく、若年性の発症も4~5%あります
⽼年後期の発症が多く,性別では⼥性に多く、高齢になればなるほど発症のリスクがあがることが特徴ですが、約4~5%に若年性アルツハイマー病の方もみえます。
アルツハイマー型認知症では性格の変化が起きる?
アルツハイマー型認知症は、物忘れや時間や場所が分からなくなるなどの中核症状といわれる症状と、場所がわからないなどの中核症状のために、物とられ妄想や徘徊、イライラなどの周辺症状(BPSD)が見られることも多い。
特に周辺症状(BPSD)は家族を困らせることが多く、性格が変わってしまったかのように介助者に対して怒ったり暴力を振るったりするために、周囲を疲弊させてしまうきっかけとなってしまう。またイライラだけではなく、不安や抑うつ状態も見られるために、高齢者のうつ病との区別が時に困難となる場合があります
認知症の症状の経過について
初期
なんとか⾃⽴した⽣活が可能な状態です。初期症状は,物の置き場所を忘れるなどちょっとした物忘れであるが,それが徐々に頻度を増し、程度も進行していきます。昔話や同じ話を何度も繰り返す⼀⽅で、新しい出来事はすぐに忘れてしまいます。また、意欲や周囲に対する興味・関⼼が薄れ、身だしなみにだらしなさが⽬⽴つようになることもあります。⾒当識の障害や、失敗をごまかすための作話、無遠慮と感じる⾏動なども現れます。発症前期には不安や抑鬱状態といった精神症状がみられることもあります。
中期
⽇常⽣活に部分的に介助が必要になった状態です。記憶障害が進んで、⾷事をしたことすら忘れ、さっき⾔ったことでもすぐ聞き返したり、味付けができず、同じ物をいくつも買ってしまう、道に迷うなど⽇常⽣活に⽀障が⽣じてしまう事があります。もの盗られ妄想や、いるはずのない同居⼈や来客の存在を訴えたり、⾃宅にいるのに「家に帰りたい」と訴えることもあります。失禁も認められるようになり、⼈物の区別もつかなくなって、会話内容は独り⾔が⽬⽴ち,鏡に向かって喋るなど対⼈接触の障害も⽣じることもあります。
後期
⽇常⽣活全般にわたって介助が必要になります。表情は乏しく、⾔語の理解も障害され、⾃発語も減って寝たきりの状態になります。姿勢の保持や歩⾏も困難となり、最終的には発語はなくなり、意思疎通を図ることができない状態となります。
アルツハイマー型認知症の診断について
・記憶、学習などの認知機能が低下している
・緩徐でかつ進⾏性な認知機能低下である
・他の疾患や精神疾患の影響ではない
上記3点を満たしているとアルツハイマー型認知症と診断されます
ひだまりこころクリニックサンシャインサカエ院では、認知症が他の疾患の影響でないことを確認するために、ビタミン値などを含めた採血や、病診連携をしてMRI画像を含めた検査を提案させていただくことがございます。
アルツハイマー型認知症の薬物療法について
抗認知症薬は,主には中核症状に対する効果を目的としていますが,中核症状の改善に伴って周辺症状も改善することが期待できます。抗認知症薬としては,アセチルコリンエステラーゼ阻害薬(ドネペジル・ガランタミン等)や,NMDA 型グルタミン酸受容体拮抗薬の2種類があります。
これらの薬物療法によって、アルツハイマー型認知症の進行をある程度抑えるといった効果があります。不安や抑うつなどの 周辺症状(BPSD) に対しては,抗うつ薬,抗不安薬,睡眠導⼊薬,気分安定薬さらには抗精神病薬などを症状に合わせて適宜⽤いることがあります。抗認知症薬と併せて、これらの精神治療を併用することで苦痛を取り除き,情緒⾯の安定,ひいては介護負担者の軽減も期待が目指せるのです。
脳血管性認知症とは
脳梗塞や脳出血など、脳内の血管に異常が起こることによって起こる認知症です。
脳出血や脳梗塞で脳がダメージを受けてしまうために、脳の機能に影響が出てしまうのです。そのために、認知症の症状の程度は脳血管障害の程度に関係してきます。
そのために、まだら認知症といわれるように、記憶も部分的に落ちていたり、手順や物事の取り組みなど、“できること”と“できなくなってしまったこと”が混じるようになります。
また、一日の中で、症状に変化が出やすいのが脳血管性認知症の特徴です。
脳血管性認知症の診断方法
頭部CTや頭部MRIやシンチグラフィーを用いて、脳の血流障害の影響がないかを確認することがあります
脳血管性認知症の治療方法
脳梗塞や脳出血を繰り返さないためにも血圧管理がとても重要になります
また、脳血管性認知症では回復期の適切なリハビリによって、脳血管の障害を受けていない脳の部分が、脳卒中で影響を受けた脳をリカバリーするために、認知症状がある程度リハビリによって回復することが認められています。そのために、脳梗塞や脳出血の回復期のリハビリは、脳血管性認知症の改善といった面でも、非常に重要であるといわれております。
認知症はうつ病の症状にも似ているので注意が必要です
うつ病様症状を訴えて来院する高齢患者様の中には,その症状が認知症に由来している場合もあるために、⽣活の様⼦を家族に細かく聴取したり、医師との診察場⾯での会話の疎通性などを⼗分に観察する必要があります。
また逆も然りで、認知症様の症状で受診された方が、実は物忘れではなく、うつ病による思考停止であったということが判明して、認知症ではなく、「うつ病」と診断されることもあります。
認知症患者様の、介助者の方やご家族の方たちへ
認知症患者を介護する家族の負担は計り知れないために,ご家族がうつ病などの精神疾患を発病する可能性も⾼いのです。お互いに共倒れになってしまわないように社会的・福祉的サポートの利用や,⼼理的ケアは非常に重要です。
ひだまりこころクリニックサンシャインサカエ院では、精神保健福祉士も複数名常勤勤務しており、医療制度や福祉サポートのご提案ご相談なども充実しております。
認知症かもとお困りの方はお気軽に、心療内科,精神科,メンタルクリニックのひだまりこころクリニックまでご相談くださいませ。
野村紀夫 監修
ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など