うつ病よりも「軽いうつ」とは?気分変調症・持続性抑うつ障害もご相談ください
気分変調症(dysthmia)とは持続性抑うつ障害とも呼ばれる疾患です。
常に、憂うつな気持ちが慢性的に2年以上継続し、うつ病の診断基準となる「抑うつエピソード」は満たさない状態を指しています。
つまり、うつ病の診断を満たすほどのうつ症状ではないものの、慢性的に2年以上憂うつな気持ちが継続する、「気分障害」のカテゴリーの中の「抑うつ障害群」に該当するのです。
気分変調症(dysthmia)とは持続性抑うつ障害とも呼ばれる疾患です。
常に、憂うつな気持ちが慢性的に2年以上継続し、うつ病の診断基準となる「抑うつエピソード」は満たさない状態を指しています。
つまり、うつ病の診断を満たすほどのうつ症状ではないものの、慢性的に2年以上憂うつな気持ちが継続する、「気分障害」のカテゴリーの中の「抑うつ障害群」に該当するのです。
気分変調症は、「憂鬱な気分」「抑うつ感」が2年以上毎日のように継続してしまっている疾患です。
慢性的な経過であるために、本人はそのような状況を受け入れざるを得ず、「毎日がつまらない」「人生って苦痛だ」「自分はひょっとして無価値なのか」といったゆがんだ価値観を持ってしまいがちです。
また、「毎日はそういうもの」と病状を当たり前であると受け止めて生活をしてしまっている場合もあります。
もちろん、そのような「自己による解消・対処」が上手く行く場合もあるかもしれませんが、多くの方たちはそうはいかず、「気分変調症」は医療機関への相談や受診を必要となる事が多いのは事実です。
気分変調症とは、人口の約5~6%がかかると報告されている程、珍しい病気ではありません。
また、典型的な「うつ病」と診断されるほど、抑うつ・憂うつ症状が強くないことが特徴で、比較的軽度の「抑うつ感」「憂うつ感」が長期に慢性的に継続していることが特徴です。
慢性経過であるために、「そういうもの」として本人が判断してしまっていることも多く、「病状」として本人が自覚する機会が比較的少ないのではと考えられ、「気分変調症」として該当する方は、実はもっと多いのではないかと考えられています。
そういう面でも「気分変調症」はもっと注目され、適切な対応がなされるべき存在なのかもしれません。
1引きこもりがちになってしまう
日常生活や社会生活すべてが、しんどく感じて活動性が低下してしまう
2罪悪感が強く出てしまう
周囲から取り残された感じや、自分のブルーな気持ちの継続に自信を失ったり自責感が出てしまう
3何事も楽しくないと感じて辛く感じてしまう
興味や喜びの低下や活力の低下から、悲観的になってしまう
気分変調症は持続性抑うつ障害とも呼ばれており、DSM-Ⅴでは「気分障害」から分離された「抑うつ障害群」にカテゴリーされた疾患です。
これまでは、気分変調症はDSM-Ⅳでは気分変調性障害や慢性大うつ病性障害の概念であり、DSM-Ⅲは抑うつ神経症と呼ばれていた概念を含んでいます
2年以上にわたって、慢性的で持続的な気分障害が継続し、その気分障害は軽度の抑うつ症状が中心で、食欲の変化や低下、不眠症・睡眠の変化、気力の減退や疲労感、自尊心の低下や罪悪感、集中力の低下・生産帝の低下、絶望感・悲観といった症状が中心の抑うつ症状が継続してしまう疾患です。
診断時にうつ病や抑うつエピソードを満たさない、躁病エピソードや双極性障害の診断を満たさないことが前提ですが、2年間の期間中にうつ病の診断基準を満たしていたかもしれない点に関しては言及をしています。
以下、①~⑥のうち、2つ以上の症状が存在することが診断に重要となります。
①食欲の減退または増加(食欲の変化)
②不眠または過眠(睡眠の変化)
③気力の減退または疲労感(意欲の低下)
④自尊心の低下(自信の低下)
⑤集中力の低下または決断困難(集中力低下・考えがまとまらない)
⑥絶望感(悲観的・絶望感)
などの症状が「抑うつ症状」として重要になります。
そして、うつ病の診断基準よりも、より主観的なご自身の自覚や症状による不調が重視されている点も特徴です。
気分変調症や持続性抑うつ障害の頻度は、一般人口の約5~6%がかかる病気と報告されており(カプラン臨床精神医学テキスト参照)、決して珍しい病気ではありません。また、男女差は大きく見られないものの、未婚の若年が多くなるなど、生活背景に影響した頻度が見られます。
そして、パニック障害を主体とする不安症や、境界性パーソナリティー障害とも合併しやすいとも言われており、一部の患者はうつ病や双極Ⅰ型障害に移行します。
また、気分変調症患者の50%が25歳以前に発症している点と、その慢性経過の特徴から、生活や人生観まで影響を与えていることは言うまでもありません。
野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など
気分変調症は長期的に無治療を選択されていた時代もありましたが、現在では薬物療法、更には通院による医師の精神療法が大切であると考えられています。
うつ病に準じた治療方法が有用とされています。SSRIなどの選択的セロトニン再取り込み阻害薬などが選択されることが多いですが、うつ病と異なり「慢性経過」することが特徴の「気分変調症」では漫然とした投与なりがちであるために通院に伴う精神療法による、本人の認知面の変化や、無力感やゆがんだ人生観への修正などの治療も同時に行う事はとても大切なのです。
気分変調症では、長年抱え続けてきた抑うつや憂うつな気持ちから、無価値観や否定的な考えが生じやすく、人生観や自己の価値観に対しても、ゆがんだ認知や感情を抱きやすくなっていることが多いです。 通院に伴う精神療法を通して、このような認知の癖やゆがみを修正することをめざし、現在起こっている問題やこれから生じる事象に対して、従来より適応した行動や思考を目指すことを目的とした治療です。行動療法や認知療法とも呼ばれる手法を用いることが多いです。
気分変調症はその長年の経過の為に、自分の性格はそういうもの、世の中こういうものとして受け入れてしまっていたり、無価値観・無気力を強めて人生観までも大きく影響を及ぼしていることもあるのです。 もし、「気分変調症に当てはまるかもしれない…」と思われる方は、医療機関までお気軽にご相談くださいませ。
うつ病がぶり返しやすい病気であるため、再発を予防することが大切です。
症状が改善し、気分が軽くなってきたと感じるため、「治療をやめたい」と思う方が多いかと思います。
しかし、処方する薬には「症状の改善、状態をよくする」という働きに加えて、「状態を維持する」という効果もあります。
個人差はありますが、症状の改善がみられても、およそ半年から1年間は薬の服用を続ける必要があります。また、うつ病になりやすい「ものの見方・考え方」など自分の考え方のクセを知ることで、自分なりにものの見方を調整して、再発を予防することも大切です。
抗うつ薬の種類にもよりますが、吐き気、便秘、下痢などの消化器系症状や、眠気、排尿困難、口が渇くなどの副作用があらわれることがあります。
SSRIでは、飲み始めに、吐き気やむかつきなどの消化器系の副作用があらわれることがあります。
また、SNRIでは、排尿障害(尿が出にくい・出過ぎる・我慢できないなど)のほか、消化器系症状や頭痛、血圧上昇もみられます。NaSSAでは眠気が比較的多く、そのほか体重増加などもみられています。
三環系・四環系抗うつ薬は、アセチルコリンという神経伝達物質の働きを抑制するため(抗コリン作用といいます)、便秘、排尿困難、口が渇くなどの副作用があらわれることがあります。
これらの副作用は飲み始めに多くみられますが、次第におさまってきます。
個人差がありますが、3ヵ月ほどで症状の改善がみられるといわれています
症状の改善がみられる期間は約3ヶ月と言われていますが、再発を防ぎ、元の生活を取り戻していくためには、数ヶ月から1年ほどかかる場合もあります。
なお、治療期間の目安としては、以下のように時間が必要となります。
・十分な休養を取りながら、薬の服用を開始し、うつ病の症状が軽くするための期間
約6〜12週間
・安定した状態を維持していく期間
約4〜9ヶ月
・徐々に日常生活に戻っていく期間
約1年〜
心筋梗塞発作後3ヵ月以内にうつ病またはうつ症状が発症する頻度は、20~45%との報告もあります。逆に、もともとうつ病を有する人は、うつ病でない人に比べて心筋梗塞を起こす可能性が大きいという報告もあります。その為、心筋梗塞とうつ病には関連があると考えられます。
ストレスはアトピー性皮膚炎の発症・悪化因子のひとつです。
そしてアトピー性皮膚炎にかかっていること自体がストレスとなって心理的な苦痛や、社会的機能の低下、QOLの低下を引き起こし、治療のコンプライアンスやセルフケアが障害されています。
つまりアトピー性皮膚炎とうつ病は互いに悪循環を引き起こしていることになります。
糖尿病患者では、うつ症状を有する頻度が有意に高いことが知られています。また、うつ病と糖尿病を併発する場合には、糖尿病のみ発症する場合に比べて、生存率の顕著な低下がみられています。
実際にある調査では、高齢者うつ病患者で糖尿病を発症している患者では、うつ病に対する治療介入を行うことにより、5年後の死亡率が通常のうつ病管理を受けた患者よりも約50%低減することが報告されています。
うつ病と身体疾患は一見関係がなさそうにも思えますが、身体疾患そのものがうつ病発症の原因になることがあります。糖尿病や高血圧、心筋梗塞、癌などの慢性疾患によるストレスから抑うつ状態が引き起こされたり、脳の器質的障害を認める脳血管障害などの疾患でうつ病の症状が現れたりすることがあります。
また、逆にうつ病により内分泌系、免疫系が変化することによって、身体に悪影響を与えることもあります。
日本におけるうつ病生涯有病率は6.5%(DSM-Ⅳ)、有病率の男女比は1:2で女性の方が多いと言われています。
男女差の原因として、女性は女性ホルモンバランスの変化や妊娠・出産等のライフイベントがあるためと考えられます。
ホルモンバランスの変化としては月経前症候群(PMS)や月経前不快気分障害(PMDD)、マタニティブルー(産褥期うつ病)、更年期障害があります。また女性に多い甲状腺機能の異常(甲状腺ホルモンの増加・低下)がうつ病を併発させることもあります。
女性特有のうつ病のサインとしては、料理を作るのが億劫になった、スキンケアや化粧が面倒に感じる、服に興味がなくなった等の症状があります。
うつ状態はその症状のあらわれ方で、大きく2つに分類されています。
抑うつ状態だけが起こるタイプの「うつ病(大うつ病性障害)」と、抑うつ状態と躁(そう)状態の両方が起こる「双極性障害」です。
うつ病(大うつ病性障害)は、抑うつ気分や物事に対する興味や関心が低下する”こころ”の症状のほかに、体重の減少、疲れやすい、不眠といった”からだ”の症状があらわれます。
さまざまな生活上のストレスが引き金(誘因)となることもあり、現在このタイプの患者さんの数が増えています。
非常に元気がよくなって、何でもできると思い込む躁の状態と、抑うつ状態の2つの極端な気分の波があらわれるのが特徴です。以前は「躁うつ病」と呼ばれていました。
抑うつ状態のときの症状自体は、うつ病と異なるものではないので、うつ病と間違われることもあります。
うつ病は会社員、主婦、学生、高齢者など、だれもがなる可能性のある一般的な病気です。
約13人に1人が一生のうちに1回はうつ病になるといわれています。
仕事や家庭のストレスや環境の変化がきっかけとなることが多いのですが、明らかな原因がない場合もあります。
うつ病は早期発見・早期治療が有効とされていますので早めにご相談ください。
気分の落ち込みがあらわれる少し前に、生活の中で楽しみを感じなくなった、何をしてもおもしろくない、日常生活のさまざまなことに興味を失った、集中力がなくなってきた、物事の決断ができなくなったなどがある場合、うつ病の注意信号です。
うつ病も他の病気と同じように、治療せずに放っておくと徐々に悪化していきます。症状が軽いうちにうつ病に気づき、治療をはじめることが大切です。
ストレスがうつ病に深く関わっていることは広く知られていますが、食生活とうつ病との関係をご存じの方はまだまだ少ないようです。
実は最近の研究から、食生活や食事、栄養素とうつ病との間には深い関係があることがわかってきました。こうしたことは海外では認知度が高まりつつありますが日本ではまだ十分浸透しているとはいえず、うつ病に対する新しいアプローチとして注目されつつあります。
うつ病の原因には、遺伝的要因や環境要因が考えられておりますが、必ずしも、全てに遺伝が関わっているものでもありません。
外的ストレス、性格なども要因の一つとして考えられております。
気分転換になるからといって無理に運動をさせたり、お出かけをさせたりしようとすることは逆効果になることもあります。お薬を服用し続けられるように支え、見守ってあげましょう。
また、うつ病の患者様は判断機能が落ちていることもあります。重大な判断をすることは避けるようにしてもらいましょう。
ご家族や身近な方がうつ病になった場合、うつ病の患者様に寄り添うことでご家族様もうつ病になってしまうケースもあります。
支えることも大切ですが、少し距離を置いて自分のための時間もつくり、趣味を大切にしていきましょう。
気分がひどく落ち込んでいますが、それ以外にも、頭重、肩こり、背中が痛くなったりなどの身体症状が出た、とお話いただくことがあります。
うつ病は人によって、こころの辛さ以外にも、身体的な症状が現れる事があります。うつ病に伴う身体症状については、学会での研究報告があり、因果関係も報告されおります。
診察時に身体的な辛さもお聞かせ下さい。最近は、身体症状にも効果がある抗うつ剤も有ります。個人差はありますが、焦らずに治療していきましょう。
調子が良くなっているのは、薬剤の効果の効きはじめの可能性もあるかもしれません。
調子が良くなってすぐに服用を中断してしまうと、薬剤で抑えられていた症状がぶり返してしまいます。先生の指示に従い服用を続けることが、うつ病を治すうえでとても大切なことです。
一般的に症状が完全に良くなったとしても6ヶ月間~1年は続けていくことが多くなっているようです。
うつ病の症状は、「気持ちの元気」の低下・「考える元気」の低下・「体の元気」の低下があります。
「気持ちの元気」の低下は、
・ゆううつな気分が続く
・訳もなく涙が出る
・希望がもてなくなる などです。
「考える元気」の低下は、
・集中できない
・思考力が落ちた
・趣味を楽しめなくなった
・TVや新聞を見なくなった などです。
「体の元気」の低下は
頭痛・吐気・肩こり・めまい・便秘・下痢・疲れやすさ、不眠、食欲不振などです。
これらの特徴的な3つの症状が2週間以上続いていたら、受診をお勧めします。
うつ病は早期発見・早期治療が重要かつ有効な病気ですので、早めにご相談ください。
疲れすぎていたりうつが進行している時は、自分の状態に気づきにくくなっていることがあります。うつ状態が長びくとなかなか改善しにくくなりますので、早めにご相談ください。
頭痛・肩こり・胃の痛み・吐き気・腰痛など体の悩みがなかなか治らずに続いている時、その症状はうつ病による場合があり「仮面うつ病」と呼ばれています。
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